【ライトノベル?】Vオタ家政夫#8

クビになったVtuberオタ、ライバル事務所の姉の家政夫に転職し気付けばざまぁ完了~人気爆上がりVtuber達に言い寄られてますがそういうのいいので元気にてぇてぇ配信してください~

8てぇてぇ『予想外の展開ってぇ、思った以上にどきどきするんだってぇ』

【ルイジ視点】

 待機画面が終わり、二人が映し出される。
 いつものうてめの緑あふれるお部屋の中。
 神秘的な緑の女神がいつも通りいらっしゃるが、今日はそれだけではない。

 額に一本の角を生やした赤髪ポニーテールがお部屋に降臨されている。

 神野ツノ。【ワルプルギス】の中では高松うてめと同期で、トップを走り続けていた。
 『つののこ』と呼ばれる彼女のファンは多いし、二推し三推しで挙がる名前としても滅茶苦茶多い。
 オールラウンダーでどこに置いても活躍できる彼女は、歌、ゲーム、トーク、トークも真面目な話からド下ネタまで、と、どれでも高いスキルを発揮し、更に、誰とでも絡める貴重な存在だ。

 だが、そんな彼女が唯一、オフコラボしたことのない相手。
 それが、高松うてめだった。

 その高松うてめとの初オフコラボ。
 俺達は、奇跡を目撃していた。

 神野ツノに、笑顔でうてめが……もたれかかっておるのだよ!

『んふ、んふふふふ』
『いや、うてめ、もう始まってるから』
『んふふ、つの、だって、んふふ~』
〈この声、うてめ様?〉
〈スタートメッスがすごいすぎるんだが〉
〈こいつら〇ってたんだ!〉

 始まって早々、うてめが悶えている。
 おいおい、おもしれえ事になってきやがったぜ……。
 うてめは、孤高の女、というか、不可侵の女神的ポジなので、企画とかでの他のメンバーとの絡みも基本クールで時々ポンコツって感じだ。

 だが、今日のうてめはメスと化し、めちゃくちゃデレの波動モロ出しだ。
 ソロ配信の弟ーク以外では珍しい。

 ん?

 なんだ、なんか心がざわざわしてきたぞ。

『だって、ツノが、弟君、うてめの事すきすぎじゃないって、んふふ~』
『いや、こんなに溶けると思わんかったからさ! はぐれ〇タルが誕生する瞬間を見たんだが!』
〈ウテウトの話をしてしまったか……〉
〈ウテウトのうてめがすみません〉
〈メタ〇スライム、ウテウトデレ、はぐれメタ〇が進化のひほう、覚えた〉

 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

 この感情をどう表せばいい!?
 この貴重な瞬間の目撃者となった喜びと、噂の弟であった恥ずかしさがメドロー〇し始めて消滅しそう……!

 俺は、素数を数えながら、画面を見つめる。俺は、今、ウテウトではない。
 ウテウトを愛するうてめ様の忠実なるてめーらであり、つのを支えるつののこなのだ。
 手元にある、つののこからは『つの汁』と呼ばれているマウンテン〇ューを一口含む。

 よし、切り替え切り替え。

『ほーら、うてめ、挨拶しよ』
『うん、んふふ、てめーら、たかまつてる? 高松うてめです』
『つののこよ、おめーらのつの立ち上がってんのか!? 神野ツノ様だよー☆』
〈てめーら、たかまつております!〉
〈つの立ち上がってます!〉
〈うてめ様のデレは万病に効くなあ〉

『えー、女神が、メス神と化したので、アタシが進行しまーす☆』

 流石、万能ツノ様、直ぐに役割を立て直し、進行し始める。

『まあ、先に、言う事だけ言っておこう。うてめとの初オフコラボでーす! てめーら、見てるー?』
〈刮目しております!〉
〈黒船ありがとうございます〉
〈ペリー神野の来航を歓迎します〉

『なので、今日はなんと、初のうてめ家からなのです! ん~、グッドスメルで、ずっと住めるわ』
『もう……ツノ、やめてよ……っ』
〈おい、だいじょうぶか?〉
〈戦士てぶでは?〉
〈メススメルがやばいんだが〉

 本来、ここでツノ様のコラボ相手が何かしらの嫌がるリアクションか、駄洒落に引いて、進む流れだ。
 だが、うてめがにやにやし過ぎたせいか、息が荒く、めちゃくちゃいろっぽい感じでツノに迫っている。これは予想外だ。
 ツノ様も、動揺してる。

『んっ……あ、あのぅ、うてめ、こ、ここはね、嫌がるところで……そ、そういうじゃないかなあ、あはは』
〈まずい、お頭までメスにされてしまう〉
〈ツノ様が純情メス? 解釈が〉
〈発情鬼女、メススメル、純情鬼女、が進化のひほう、覚えたぞ〉

 ツノ様が、物凄く照れている。
 基本的にツノ様は猛烈アタックして、嫌がられるポジションで盛り上げてきたが、まさかのうてめ様のお色気迫りカウンターにどうようしている!

 え? すごくかわいいんですけど、どうしたらいい?

『えへへ……も、も~、うてめってばあ』
〈照れ照れ〉
〈てぇてぇ〉
〈な、なんか緊張するね///〉

 なんだこの状況。
 うてめ様も、ツノ様も、画面の向こうのてめーらも、つののこも、俺も、みんな、なんか照れていた。

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