クビになったVtuberオタ、ライバル事務所の姉の家政夫に転職し気付けばざまぁ完了~人気爆上がりVtuber達に言い寄られてますがそういうのいいので元気にてぇてぇ配信してください~

54てぇてぇ『休日ってぇ、普通心安らげるもんなんだってぇ』

【天堂累児視点】

 ナツノオフコラボの翌日、俺はリビングのソファーで目を覚ます。
 いつの間にかソファーベッドになっていて。
 いつの間にかパジャマの前が開いていて。
 いつの間にか色んなシャンプーとかの匂いが混じっていて。
 二の腕のあたりがちょっと湿っていて。
 なんか左腕が痺れている気がするが気にしないでおこう。

 前日までの疲れと昨日のちょっとしたダッシュ&シャウト。
 それらが積み重なったのであろう爆睡した。
 とはいえ、アラームで目覚める俺はもう習慣だな。

 さて、不思議な動きで離れていくさなぎちゃんは一旦置いといて。
 いや、結局追う形になるが、キッチンへと向かう。が、そこには先客が。

「あ、おはようございます。さなぎさん、堪能しましたか? そして、堪能されましたか、ルイジさん」
「そそそそそーだしゃん! って、うえあ!? るるるるるるいじさん!?」
「おはよう」

 どうやら俺は堪能されたらしい。気にしない。
 ここでそれを気にしたら負けだ。
 顔を真っ赤にして鼻息荒いさなぎちゃんは暫く回答不能だろう。
 穏やかにニコリと笑うそーだに話しかける。

「何してるの?」
「毎日主夫として頑張ってくれて疲れて眠ってしまった愛する旦那様の為に朝食を作る人妻Vtuberごっこです」

 うわあ、具体的すぎるごっこ遊びだこと。
 あと、ウチの演技力ナンバーワンのキミがやるとごっこに見えないからマジで。
 そして、

「その恰好は何かな?」
「本当は裸エプロンで旦那様に元気を出してもらおうごっこがしたかったんですが、ルイジさんはそういうの本当に怒るので、ギリギリセーフラインを目指しました」

 そういうソーダの恰好は、水色の爽やかなショートパンツに上は白のタンクトップ、その上にエプロン。

 もう前から見たらほぼ裸エプロンなんだが。

「一応、さなぎちゃんと一緒に裸エプロンもやってみたんですけど、さなぎちゃんが『今何しだすか分かんない気持ちになってるからやめよう』って言いだして」
「そそそそそそーだしゃああああああああん!」

 レッドストーンブロックくらい真っ赤になったさなぎちゃんの隣に立ってみる。
 うん、慌てふためく彼女が可愛すぎて元気が出てくる。
 そうか、あのブロックはこういう仕組みだったのか!
 そんなアホな事を考えてると、さなぎちゃんが鼻血を出して倒れる。
 レッドストーンブロックじゃなくて溶岩だったのかもしれない。

 さなぎちゃんの顔をティッシュで拭き落ち着かせると、俺はその様をニコニコ顔で見てたそーだの方へ向かう。

「じゃあ、次はわたしの番ですね」

 そういうと、そーだはぴったりと俺の隣にくっついてくる。

「あの、そーだ、さん?」
「うふふ、な~に、あなた?」

 至近距離での囁き、ASMRありがとうございます!
 俺は思わずリアルスパチャの為に財布を探す。
 だが、手元になかった。

「スパチャ、出来なかった……!」
「同じASMRでお返しでもいいんですよ、ごっこ返しでも」

 俺も疲れていたし、爆睡からの寝起きだったせいかもしれない。

「ありがとう、奥さん」

 囁いていた。ハッとした時にはもう時すでに遅し。
 そもそも奥さんってなんか意味合い違って聞こえてくる気がするよな! やっちまった!
 そーだに言質とられたのでは!?
 などなどいろいろ考えておそるおそるそーだを見てみると、そーだは珍しく顔を真っ赤にして、

「あ、あははは……あはははは……あはははは」

 壊れていた。

「ふ、不意打ちでした。まさか、言ってくれるとは……まあ、奥さんという言い方はあれですが、奥さんという、あの、ちょっと包丁持ってて愛が溢れて、ヤンデレメリバエンドしそうなので、離れていてください」

 闇堕ち経験者は怖い。俺は大人しく離れることにした。

「今日は、わたし達が家事全部やりますので、ゆっくりしててくださいね~」

 離れると落ち着いたのか、そーだは料理を再開しながらそう言った。

「悪いな。急に」
「いえいえ、昨日の時点で、お休みするとは聞いてましたし、うてめお義姉様も今日はお出かけはやめて、ルイジさんをもてなすことに賛成してくれましたから」
「え? なにそれ?」

 聞いてない。やすむとは言った。が、もてなす?

「今日は、いつも頑張ってくれている家政夫さんに休んで頂く為に精一杯わたし達がおもてなしさせていただくことになりましたので、よろしくお願いしますね♪」

 え? 休ませてくれるんだよね? ゆっくりさせてくれるんだよね?
 とてつもない不安な気持ちを胸に俺は【休日】を過ごすこととなった。

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