『ダブドリ Vol.17』インタビュー06 アレックス・デイビス & マックス・ヒサタケ(青森ワッツ)
2023年5月12日刊行の『ダブドリ Vol.17』(株式会社ダブドリ)より、アレックス・デイビス選手とマックス・ヒサタケ選手のインタビュー冒頭を無料公開します。
玲央 まず他己紹介から始めましょう。
アレックス 隣に座ってるのはマックス・ヒサタケ。素晴らしい人間、素晴らしいチームメイト、ハードワーカー。毎日成長することを望んでいる。コートに立てば一緒に戦ってくれるという絶大な信頼を寄せている。共にコートに立てることが光栄で、一緒に優勝したいね。
玲央 ではマックスからも。
マックス 僕のキャプテン、アレックス・デイビス。初日から自分らしくバスケをさせてくれる存在。彼の言った通り、コートに立てば一緒に戦ってくれると信じている。彼のリーダーシップ、自信、規律があるからこそ、この街で自分たちの名を刻むことができている。常にエナジーを持ち、チームメイトに声をかけリードし、自分自身に責任を課している。身体やメンタル面のケアもしっかりしている。彼のバスケットボールに対する姿勢や集中力を疑うことは一度もない。だからこそ、僕らはこうして安定した結果を残すことができているんだ。
玲央 チームメイトになったのは今季が初めてですが、初日から息が合っていたのですか?
アレックス そうだね、昨年B1で対戦していたっていうのも大きい。マックスはD3の大学出身で、僕は短大出身。お互いあまりコネや露出がないなかで、トップまで駆け上がっていくことの大変さというのを経験してきている。そういった状況からプロのアスリートになるのはとても大変なことなんだ。D3や短大からプロになれる人は少ない。今このリーグにはたくさんの元NBA選手がいるだろう? そこに僕らみたいな選手がいるのは稀有なこと。大変なことだけど、ハードワークがお互いを正しい道に導いてくれた。そしてもっと上を目指そうと、ハングリー精神を失っていない。
マックス 期待されていないような環境から、ここまで来れたというのは、まずとても幸せなこと。大好きなことをやってお金を稼ぐという、夢の仕事を手に入れたんだ。そうやって這い上がってきた過去があるからこそ、今でもその気持ちが失われていなくて、何かひとつミスを犯せば全てを失ってしまうという危機感を僕らは常に持っている。華々しい道を辿ってきた人よりも、僕らは常にハングリーさを持ち合わせていると思う。
玲央 マックスはプロとしてプレーするのは日本が初めてなのに対して、アレックスは世界中でプレーしてきました。海外でのプレー経験など、色々教えてもらってますか?
マックス 沢山ね。特にヨーロッパについてよく聞くことがある。ヨーロッパでプレーすることを夢見たりしたこともあったからね。ユーロはプレースタイルが全く違う。ユーロにはアメリカ人ガードが沢山いる。アメリカ人のガードはビッグをプレーに絡めていくことに長けているし、慣れている。ロブパスを投げたり、ピック&ロールでビッグとどう効果的に動くかというのが身体に叩き込まれている。だからアメリカ人ガードの多いユーロでプレーすれば、僕も活躍できる自信がある。でも今は日本でこうして活躍し、尚且つ経済的に安定するサラリーを貰うことができている。どちらも大切なことだから、そこのバランスを見出すことが大切だよね。
玲央 海外から日本に来た時の印象はどうでした?
アレックス 僕はヨーロッパに行く前にGリーグ(NBAの下部リーグ)でプレーしていたから、まずはアメリカンスタイルからユーロスタイルへのカルチャーショックがあった。食事、練習、スキル育成、ウェイトリフティングなど、全てが少しずつ違って、スケジュール感なんかも違う。ユーロでは地域によって、連勝していれば問題ないが、少し連敗が続くと給料が払われなかったりする。アメリカで当たり前なことが、ユーロではあり得なかったりした。
そしてさらにそこから日本に来るにあたって、過去に日本でプレーした外国籍選手の動画を沢山見たんだ。身体の大きい、自分より重いタイプの選手が多かったから、そこは自分のスピードや爆発力を使えそうだなと思ったよ。実際にブロック王になったり、スティールで3位になったりと、守備で活躍できた。
大きな違いを感じたのは、マックスがさっき触れていたガードのプレーだね。ガードのプレーやスペーシングが日本は他国と大きく異なる。日本はペイントを埋めて守ったりもするから、その辺りの対応が必要だった。
玲央 それはありそうですね。
アレックス そして一番の試練はやはりコミュニケーション。英語があまり伝わらないなかで、なるべく感情的にならずに、どうコミュニケーションを取っていくかというのが常に課題としてある。若い選手とプレーすることも多いから、攻守でどういったプレーを選択すべきだったか、何がしたかったかという意思疎通を上手く取ることが大切だなと感じるよ。
大柴 若い選手に結構声をかけたりするんですか?
アレックス そうだね。ただやっぱり言葉の壁があるので、僕が何を言っているのか理解されず大変な場面もある。日本人はナチュラルにシャイなところもあると思うから、そこの感情レベルの差がどうしても生まれてしまう。言葉が伝わらないと、「こないだの練習でやったように上に出してくれ」とか修正をしようと声を出していても、「何かギャーギャー騒いでるな」っていう風に映ってしまったりすることがある。それがミスコミュニケーションに繋がってしまう。今年はクリス(栗原クリス、通訳兼練習生、その後正式に選手契約)がそこを上手く伝えてくれるから助かっている。
玲央 マックスも感情的なタイプ?
マックス もう少し落ち着いてるかな。
一同 (笑)。
マックス 落ち着いているけど、それと同時に感情的でもある。だからアレックスとは波長が合うんだと思う。感情的になりすぎてしまいそうだと感じれば、彼と話すことができる。クリスと話すことができる。イージェイ(モンゴメリー)と話すことができる。言葉が伝わらない苛立ちがあった時も、お互いと話し合って解決策を見つけたりできる。
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