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岩見沢のプライドを胸に FUzHOKKAIDO.EXE 勝負の3年目 松重宏和副代表CEOインタビュー

勝負の3年目を迎えたFUz HOKKAIDO.EXE。ロスターの充実、商圏の変更、2年連続のプレミア誘致など、変化の年となった今シーズンの取り組みを松重宏和副代表CEOに話を伺った。(取材日:5月18日  インタビュー・写真:宮本將廣)

僕らがコートを持って北海道の人が集まるところに出向いていくこと

宮本 まずは今シーズンに向けたメンバー編成について伺わせてください。オンコートに関しては田尻さんの業務になるのかもしれませんが、松重さんの目線で今シーズンのメンバー編成の経緯などを教えていただけますか?
松重 立ち上げから2シーズンが経ちましたが、昨シーズンのプレミアでは2勝しかできませんでした。田尻などとも話し合い、これまでの中では一番の改革を進めていくことに決めたんです。菅原洋介が選手兼GMとなり、彼のつながりも使いながら選手をリクルートしていきました。これまでを支えてくれたベテランに可能性のある若手を加えることによって、新陳代謝ではないですけど、刺激を入れていこうという狙いを持っています。
宮本 これは外から見ている勝手な印象論ですけど、チーム立ち上げから3年目の今シーズンは、ある程度の結果を出さないといけないし、チームの存在価値を証明しないといけないと感じています。それは経営面でもコートの上でも。その中で見える部分としては、最初にお話しいただいたロスターの部分、岩見沢から北海道全域へ商圏変更、それに伴ったチーム名の変更、そして7月6日のエスコンフィールド北海道でのプレミア開催だと思います。特に北海道全域を商圏として活動していくことは、大きな変化だと思います。クラブとしてどんな狙いがあるのでしょうか?
松重 昨シーズン、岩見沢に大会を誘致することができて、それ自体はものすごく成功したと感じています。逆にいうとそれですごく可能性を感じたところがあって……。
宮本 表現が少しあれかもしれないですが、岩見沢でもあれだけの盛り上がりを作ることができたというところに可能性を感じたということですか?
松重 おっしゃる通りですね。3x3は人が集まる場所に自らコートを持って出向いていくことができる。これは他のスポーツにはない大きな特徴だと感じています。ゆえに今年のパリオリンピックではエッフェル塔とルーブル美術館の間というものすごい場所で開催されるわけですよね。それを考えたときに、北海道は開催すると面白い場所がめちゃくちゃあるんじゃないかと思ったんです。
宮本 確かに。商業施設もそうだし、景色がいいところとか象徴的な建物や公園とかも多いですもんね。岩見沢から北海道に商圏を広げるだけで、できるかどうかは別として開催地の候補がかなり増えると思います。実際にここでやったら面白いみたいな場所なども考えているんですか?
松重 実は狙っている場所があって、新千歳空港の広場あるじゃないですか。
宮本 はいはいはい! HOKKAIDOの看板があるところ!
松重 そうです。あそこでやりたいんですよ! 絶対にできると思うんですよね。参加するチームの移動も楽だし(笑)。そういう意味で、北海道は開催できたら面白いんじゃないかっていう場所がごろごろある。岩見沢の大会を成功させたことによって、そういう可能性をより強く感じるようになったのは正直なところです。それにプレミアで大会誘致をしていくにしても、シーズンに1回誘致できるかどうかが現実的なところで岩見沢のチームである以上、候補地は岩見沢が第一候補になります。そうなると北海道の人たちにチームや選手のことを知ってもらう機会をどうやって増やすのかという課題も感じていました。活動していく中で他にも出てきた課題のすべてを一気に解決できるのが、北海道全域を僕らの活動エリアとし、僕らがコートを持って北海道の人が集まるところに出向いていくことだと考えたんです。
宮本 すごく納得がいきました。もうひとつ大きなトピックとして、7月6日にエスコンフィールド北海道という、いま北海道で1番ホットな場所でプレミアの試合を開催できることになりました。道内はもちろん、道外からも行ってみたいという人がたくさんいると思います。今回の誘致は実際に岩見沢をホームにし続けていたら難しかったかもしれないですよね。今回の誘致にはどんな取り組みがあったんですか?
松重 実は昨シーズンの岩見沢大会に日本ハムファイターズさんが視察にきてくれていたんです。大会を見てもらった後に、「エスコンでやりませんか?」というお誘いをいただきました。クラブや会社としても毎年何らかの挑戦、成長をしていかないといけないと考える中で、昨シーズンは岩見沢での成功、その経験を持って今シーズンはそれを超えていくインパクトを考えていたところでした。そのタイミングでお話をいただいたので。これ以上の機会はないなと思ってやらせてもらうことにしたんです。それもあって、北海道全域に活動範囲を広げていこうという形になったいう部分も少なからずありますね。
宮本 じゃあ、「エスコンでやろう!」とか、「北海道全域を活動エリアにしよう!」とかだけではなく、積み上げたことが色々と作用しあって今シーズンの変化につながっているということですね。
松重 そうですね。本当にその通りです。

松重宏和副代表CEOは大会帯同時は裏方業務に徹している

岩見沢以外でも僕らにできることがある

宮本 個人的には商圏を岩見沢から北海道に広げることで、すごく可能性が広げられると感じています。たとえば北海道は日本の縮図みたいな状況で、札幌一極集中になっている。地方の人口減少は加速している中で、岩見沢という道内の地方で成功した取り組みは、他の道内の地方でもポジティブな影響を作れる可能性があると思います。プラスして岩見沢の良さを伝えながら、道内の地域振興などもできるのかなと感じました。
松重 本当にその通りで、まず岩見沢から北海道に商圏を移しても岩見沢が拠点でなくなるわけではありません。岩見沢だからこそできたことをさまざまなところで展開していきたいと考えています。繰り返しになりますが、昨シーズンの岩見沢大会誘致、その成功はさまざまな可能性を感じさせてくれました。あのときに子供向けの大会もやったんですけど、子供達がすごく楽しんでくれたのと同時に、地方は少子化で5人制のバスケチームの活動がままならないという状況を知ったんです。3x3は気軽に少ない人数で行うことができるから、そういうチームにも取り入れてもらいやすいと思った反面、北海道で3x3をやっているのは僕らしかいないので、そのノウハウを持っているのが僕らしかいない。それでお試しという形で、去年と今年の3月に岩見沢でU12とU15の大会を開催しました。たくさんの子供たちが参加してくれて、反響もすごくありました。これは今すぐにでも道内の地方で力になれる取り組みだと感じましたね。
宮本 地方に行けば、「2学年合わせて8人しかいません」みたいな学校もありますもんね。そうなると体育でバスケをするという選択がなくなってしまう。競技としてバスケをしてほしいという以前に、「バスケって楽しいんだよ」と感じてもらう機会がなくなってしまう状況はすごくもったいない。それを3x3が解決できる可能性がありますよね。
松重 本当にそうですね。元々岩見沢の子供たちに向けて何かをしたいという気持ちも大きくて活動をしてきた中で、北海道の現状を知っていくと、「岩見沢以外でも僕らにできることがあるよね」というところに行きつきました。あとは岩見沢から世界へ、オリンピック選手を輩出するというクラブの目的、理念を考えると岩見沢だけにこだわりすぎずに、道内のいろんなところで子供たちとのつながりを作っていった方が、最終的には僕らのミッション達成にもつながると思います。そういう意味で北海道全域に商圏を広げることは、いろんな方向にとっていいことが増えるはずです。もちろんやることが増えるので大変なんですけど、だからこそ手伝ってくれる仲間も増えたし、興味を持ってくれた人もいるので、すごくいい形で前に進んでいると感じています。
宮本 僕もそこはすごく感じていました。僕も札幌の人間なので岩見沢という文脈が強いと、「正直協力はしたいんだけど、どうやって協力しようかな」って感じていました。でも北海道と言われるとレバンガ北海道さんもそうですけど、釧路の選手も北見の選手も北海道の選手という形で応援できるというか。
松重 そうですよね。今までも正直そういうことがありました。協力したいと言ってくれている方はいるのに、岩見沢というピンポイントなことがネックとなってどう協力してもらうのかが難しい。岩見沢が拠点であり続けることは変わらないなかで、北海道全域に広げることが僕らもそうですけど、応援してくれる人たちにもメリットがあるんだなと気づいたことは大きかったですね。
宮本 今日お話を伺っていても感じたんですが、松重さんは岩見沢で僕は札幌というより北海道のなかでより地元という場所がありますよね。個人的に道内の地方の過疎化を止めることは難しいと感じていて、岩見沢もいつかはそうなっていく可能性があると思うんです。だからこそ今から北海道全域を活動エリアにしておくことは、最終的に松重さんが岩見沢に貢献できることが増えるのかなと感じました。
松重 僕もそう考えています。北海道を掲げることで、いろんな人が自分ごととして考えてくれるようになるんだと感じました。今回の変化を成功させることが、最終的に岩見沢に還元できることが増えると思っているし、岩見沢でやってきた活動をいろんなエリアに広げていくことで今の北海道に貢献できることが増えると感じています。その中で最初から応援いただいている方にはいつか、「始まりは岩見沢なんだよ」って言ってもらいたいですね(笑)。答え合わせはもう少し先になりますけど、岩見沢からスタートして、北海道のさまざまな場所に何かしらの恩返しができればいいなと思っています。

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