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季節がわからなくなる季節
見上げると、青い空に色とりどりの葉っぱ。誰が考えて誰が作ったのだろう、と思ってしまう。こんな色の組み合わせ。なんで、自然はこんなにも美しいのだろう。なんのために?誰のために?なんてね。
会社勤めをしていた頃の私は、朝布団の中で、次にここに戻ってくるのは一体何時間後なんだろう・・・と必ず気が重くなった。21時に会社を出られたらいいほう。22時は普通。日付が変わるのはざら。朝も早い。季節の巡りなんてわからない。暑くなったな、か寒くなったな、のどちらかだ。
日中何かしらの用事で社外に出たとき、暑くもなく、寒くもない空気を感じて、あれ?と思う。これから夏に向かっているんだっけ?それとも、ここからどんどん寒くなるの?って。 何を言っているのという感じだけれど、本気で混乱していたし、一度や二度の話ではない。もうすぐお正月?それとも夏休み(取れるの?)?薄暗いけど、ここから日が長くなっていくんだっけ?
会社、やっぱり辞めてよかったな、と思う。
立秋を過ぎると、どんなに暑くても不思議と秋の気配がし始めること。そして立春を過ぎると、寒いのにちゃんと春がやってくること。春と秋の空の色が違うこと。どんぐりが木から落ちてくるときに音がすること。大好きな梨の旬は8月からだということ(いつも気がついたら食べ損ねていた)。
一年中いろいろな野菜が手に入るけれど、やっぱり季節のものが美味しいし、身体に合うこと(大好きなトマトを夏でも冬でも食べていたけれど、いつの間にかそんなに欲しなくなった)。
紅茶が美味しい季節、煎茶が美味しい季節。
別に会社に勤めていたって、どんなに忙しくたって、ちゃんと感じて、ちゃんと味わえる人はいくらでもいると思う。でも、私は完全にいろんなものを失っていたのだと思う。
そんなことを思い出す季節です。
*写真のこと*
何年か前の、福岡県の秋月城跡にて。11月。1枚の葉っぱの中にも色がたくさんあって素敵。美味しいピザと、それから美味しい葛をいただいた記憶。