映画感想 ミッドサマー
** ネタバレ含みます。
公開直後ぐらいに会社の同僚と見てきました。
もはや記憶も曖昧ですが、勝手な考察を書きます。
下記、大胆にネタバレしてます。
最初に結論を書くと、主人公(ダニー)の家族がこの村の住民だったのではないかと思っています。
冒頭の自殺シーン。精神疾患がある妹が一家心中を謀ります。
気になったのは、ベッド横にある花冠とおそらく主人公の写真。この花冠はおそらく村で使われたものなんですが、なぜこの家にあるのか?
また、主人公は異常に彼氏に依存している様子が描かれます。妹だけではなく、主人公も精神的に未発達な部分が描かれています。
車のガスを直接口から吸い込むという自殺方法も不気味ですが、サイレンと主人公の泣き声が重なり、極めて人を不快にさせる音を大音量で聞かされる最悪の幕開け(褒めてる)。
村の老人が岩の上から飛び降りる衝撃的な自害シーン。
村の外から連れてこられたカップルがショックを受けて、帰ろうとします。このカップルは観客の気持ちを代弁する役割を果たしています。しかし、村の女性は、この自害は昔から続く村の慣習であり、人生の輪廻であると説明します。村の人たちは、誰一人表情を変えることなく、淡々と儀式を進めていきます。
自害が終わったあと、主人公の家族の死体が同じ場所に映し出されます。これは、自害した二人の老人と主人公の家族の死が、同じ意味を持つことを暗示しています。村の輪廻(ルール)のなかで必要不可避な死であり、避けられないことであると。
主人公は聖書の担い手に!?
主人公のお母さんがこの村に関連しているシーンは2つあります。
冒頭、実家のベッド隣にあった花冠は、おそらくお母さんが過去メイクイーンになった証拠。二つ目は、主人公がメイクイーンになったあと、一瞬だけお母さんが現れるシーン。他にも幾つかありそうなのですが、ちょっと確信が持てない。
主人公は村の聖書の担い手になると思います。というより、そういう運命として生まれています。つまり、この村で近親相姦の結果生まれてきた姉妹だと思っています。姉妹二人は、精神疾患をもった人(disabled)として、冒頭の自殺シーンで印象的に描かれています。
おそらく、これは村の人達はこの事実を認識していると思います。少なくとも、ペレはダニーが村に来ることを異常に喜んでいるし、メイクーンのダンス大会もダニーを勝たせようとする意図が感じられる競技でした。
熊の皮が印象的な最後の生贄シーン。
映画の中で唯一、村人がルールから外れた行動をします。これまで村の人々は、与えられた役割を淡々とこなしていたのに、生贄に選ばれた男性が火に焼かれて叫び声をあげています。死への恐怖を覚え、極めて人間的な反応をします。
この人間的な反応とは対称的なのが、スクリーンに映る主人公の笑顔。これは、火に焼かれた男性の反応と対比しており、主人公が村の輪廻のなかに加わり、住民として生きていくことが示されています。
人それぞれの感情を排除して、ルールの中で生きていくことが幸せなのかが問われています。
結構前に観たので、記憶補正されて都合の良い解釈も加わっている気がします。観た後は、異物感がすごくて、この消化不良の感覚を言語化して自分の外に吐き出すために少しずつ書いてたけど、思ったより時間がかかってしまいました。
ルーン文字の解読や壁に描かれた絵など物語を暗示している描写が多く、二度目の方が間違いなく楽しめる映画だと思います。コロナが落ち着いたら、もう一度見にいきたいけど、全く気持ちがのりません。
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