嬉しい、悲しい、大好き。

無性にリンダリンダを大声で歌いたくなるタイミングがある、首を振って、飛び跳ねて、動き回って。だがどのタイミングで来るのかは自分でもわからない、ゲリラ的にくるのだ。僕はそのことを甲本化と名付け、少しばかり気にかけてみることにした。

意識し始めてから甲本化が初めて訪れたのは高三の九月、総合型選抜で受験を考えていた頃だった。だが正直にいってしまうと当時の僕は絶対に合格すると確信していた。なぜだか勉強量と比例しないほどの受かる自信を偶然に持ち合わせていたのだ。今思うとぞっとする、語彙力が皆無になる程こんな自信だけがあるやつ最悪でしかない。  
 けど僕は高校の頃の恩師にこう教わっていた。

〈勝負に負ける人の3つの特徴〉
 1.情報不足
 2.準備不足
 3.慢心

恩師というのは部活の顧問のことなのだが、僕たち部活のメンバーは練習試合や公式戦、とにかく試合を重ねるごとにこの3つの特徴を聞かされていた。聞きすぎで恩師のトーンや手のジェスチャーまで完コピできるほどだ。完コピできるほど聞いていたことなのだが完全に2つ目と3つ目に該当している。

おかしい、かなりおかしい。

とりあえず今すごく申し訳ない気持ちでいっぱいなので電話しているサラリーマンを模範に遠隔で謝ってみる。

気持ちが伝わらないという声が上がるかもしれないが自分の気持ちの問題なので無視をさしてもらう。

話がそれたようでそれてないのだが、完全に負ける人の特徴に該当してしまっているのだ。

描写を鮮明にするために説明するが、僕が志望していた大学の総合型入試には2回の門があり、1回目がエントリーシートを書いて大学に提出をする。それが先生の目に留まり一次を通過すれば、面接と作文とグループディスカッションをするという2次試験がある。

僕の代のグループディスカッションでは「ジャニーズ問題」について話すというものだった。初めて会う6人とディスカッションをして30分ぐらいで班の意見をまとめるというすごい難しいもの。それも試験の内でやっているのでもちろん採点をされる。どこを評価しているのか、何を見られているのか。随時教授方が目を凝らして受験生を見ているので緊張で固まってしまってうまく意見を言えない。

らしい。饒舌でグループディスカッションのことを話していたが、2次試験は受けてない。いや受けられなかったのだ。

当時の僕は慢心大馬鹿野郎なので一次試験なんて余裕で受かるだろうと考えていた。なんなら考えてもないぐらい余裕だった。その舐めた態度で受験に挑み、ギリギリになってエントリーシートを書き、受かったと思い込み、学科試験の勉強は一歳無下にして、9月22日の1次試験通過発表を待っていたのだ。

エントリーシートを出してからの毎日は、ゲームをして誘われたら友達の文化祭に行き、最高の毎日を過ごしていた。時が過ぎるのは早く、気づいたら9月22日になっていた。


noteの適量がわからないので一旦ここで終わりとする。続編で。



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