シュルレアリスムと音楽の類似性について


初めまして。芥と言います。このブログでは「見たもの」「読んだもの」「聞いたもの」「考えたこと」についての備忘録として、文章を書きます。なんでも形にしないとなかったことになるのでね……。今回は初回なので私の思想に特に影響を与えたシュルレアリスムとジャパノイズについて書こうかなと思います。

シュルレアリスム思想と”音楽”という思想

まずシュルレアリスムとは何ぞや、という人のために少し概要について触れておきましょう。始まりは1924年のフランス、詩人のアンドレ・ブルトンによって端を発する芸術思想を指します。
ここで芸術”思想”としたのは、あくまでもシュルレアリスムはひとつの目的を持った運動であって、詩、小説、絵画など様々なジャンルに波及していったからですね。さらに絵画を例にとれば、コラージュ、デペイズマン、デカルマコニーなど様々な手法があり、これらを統合するのが思想としてのシュルレアリスムになります。
じゃあこれらをまとめあげる思想とは何ぞやということですが、大雑把にいってしえば、”近(現)代に生きる我々を無意識に立ち返らせる”ことを標榜するのがシュルレアリスムになります。無意識というのは、精神科医のフロイトが命名した精神の部屋の一つであり、心の中に存在しているけれど認知できない部屋、社会によって達成できなかった欲求が沈み込む場所なんて言われてたりします。
主観込みでシュルレアリスムの思想をまとめると、「現代社会はあまりにもシステマチックで人間の生態から大きく逸脱してる!そのせいで我々の可能性が奪われている!よって無意識を解放することこそが、現代社会の束縛から我々を自由にするのだ!」と言った感じですかね。パンクだ。
私はシュルレアリスムを幼児期への情景だと認識しています。現にブルトンはシュルレアリスム宣言の中で幼児期に対する賞賛の文言を残していたりなんかしてますしね。我々を縛り付けるものがなかった時代への憧れは、後述する欧米シーンから見たジャパノイズへの眼差しとも一致する部分があると思います。
私はシュルレアリスムが体制に対する革命的な思想を孕んでいたように、音楽というメディア自体もまた、似た性質を持っていると考えています。英語を理解できない私にとって、洋楽のうちに含まれるボーカルというのは文脈を持たない音の繋がりであり、意味符号で世界を構築する社会規範に対してのカウンターなのです。そして、音楽に含まれるリズムは、生物としての非社会的な感覚が身体を乗っ取り、体を突き動かします。ハードコアのライブでは特に顕著で、社会生活のうちでは最も厳重に抑圧されている暴力が噴出します。これはシュルレアリストのうちで行われていた催眠大会(催眠によって無意識の表出を試みたが、暴力沙汰になったためブルトンが禁止したはず)に近い効果を人々にもたらしていると私は考えます。現代社会の規範は、社会生活を円滑にする反面、そのシステマチックな性質から、人を取りこぼす危険性を孕んでいます。シュルレアリスム運動自体は形骸化し、その思想が現代に伝達されることはついぞなかったと私は考えていますが、音楽というメディアには、シュルレアリスムの萌芽があると考えています。

欧米シーンから見た極北音楽”ジャパノイズ”

では、音楽が社会規範のように凝り固まった存在になったとき、音楽は新たな変化を求められる。90年代、これまでインディーシーンで活動していたバンドがメインシーンの追い風を受けメジャーデビューを果たす。今回は、日本のノイズシーンと深い関わりがあるソニック・ユースとニルヴァーナを取り上げる。彼らは自らのライブに前座として日本のノイズ・ミュージシャンを取り上げたが、メジャーシーンの彼らはなぜ日本の、しかも関西の小さなムーブメントを取り上げたのか。
私はここに、シュルレアリスムに見られた幼児期への情景との重なりを見る。ジャパノイズの特徴は、”即興性”と”爆音”という二つに分けられる。まぁ、要するにめちゃくちゃなのだ。欧米シーンにおけるノイズでは、ギターの歪みこそあれど楽曲の構成要素の一つとして管理されているが、ジャパノイズでは突如発生的な爆音の中で過激なパフォーマンスが行われる。欧米人から見れば、ノイズに対する接し方が違うのは一目瞭然。思うに、ジャパノイズには、遊びの側面が強いのだと思う。楽器としてノイズを用いた人々には、さぞ新鮮に映っただろうし、失われていた喜びだったと推察する。この点は、シュルレアリスム・グループがアウトサイダーの作品を積極的に受け入れていたことに似ている。そうだ、ジャパノイズはアウトサイダーの一ジャンルとも言えるだろう。その意味で、実験精神を持つオルタナティブ・ミュージシャンに歓迎されたのも理解できる。

終わりに

とまぁ思いつくままに書いてみたので間違っている箇所などあれば指摘してくれると嬉しい。なんとか音楽を通じてシュルレアリスム的喜び(これって要するに思い悩んだりしないで思いつくままにやるってことなんだけど……)を自分でも作れたらいいななんて思ってます。今後は見たものについて書くと思うけど、シュルレアリスムとジャパノイズは自分の中で大きなテーマなのでこの辺も補強していけるといいですね。ここまでの閲覧、ありがとうございました。

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