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♯02 赤ちゃんの背中を丸くした姿勢で寝かせる方法に根拠(エビデンス)はあるの?

はじめに

赤ちゃんの寝かせ方に『Cカーブ』『まるまる』『まんまる』『おひなまき』など、背中を丸くした姿勢で寝かせる方法があるようです。
この寝かせ方に根拠(エビデンス)はあるのか調べてみましたので、ご紹介します。

Cカーブ、まるまる、まんまる、おひなまきって何?

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背中を丸くした姿勢で寝かせる方法の解説は、一見、根拠として正しそうに書かれています。

背中を丸くした姿勢で寝かせる方法の研究はあるか?

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この会社の2014年1月のニュースレターでは、正期産新生児60名を2つのグループに分けて比較した試験が行われ、効果があったと記載されています。

背中を丸くした姿勢で寝かせる方法に根拠(エビデンス)があると言えるか?

上記の研究結果から、根拠(エビデンス)があると言えるか、検証します。

まず、2つのグループに分けて比較した試験の為、介入試験であることが分かります。
次に、2つのグループに『ランダムに振り分けた』記載はないことから、非ランダム化試験であると考えられます。つまり、もともと良く寝る子をポジショニングマットのグループに、良く寝ない子を平らなマットのグループに寝かせて良い結果が出た可能性も否定できないことになります。

以上から、この研究結果だけで根拠(エビデンス)があるとは言い切れないことが分かりました。
もっと根拠(エビデンス)レベルが高い研究はないか調べてみましたが、私の確認する限り見つけられませんでした。

赤ちゃんの寝かせ方に関する科学的根拠(エビデンス)レベルが高い研究や公的機関からの情報はあるか?

厚生労働省の『乳幼児突然死症候群(SIDS)』の「睡眠中の赤ちゃんはの死亡を減らしましょう」には以下のようにあります。

睡眠中に赤ちゃんが死亡する原因には、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という病気のほか、窒息などによる事故があります。
○ SIDSは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なります。
○ 令和元年には78名の乳幼児がSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第4位となっています。
○ SIDSの予防方法は確立していませんが、以下の3つのポイントを守ることにより、SIDSの発症率が低くなるというデータがあります。
(1) 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせましょう
(2) できるだけ母乳で育てましょう
(3) たばこをやめましょう

厚生労働省の『睡眠中の 強化月間赤ちゃんの死亡を減らしましょう』の「窒息事故防止のため」には以下のようにあります。

睡眠中に赤ちゃんが死亡する原因には、乳幼児突然死症候群(SIDS)のほか、窒息などによる事故があります。
敷布団・マットレス・枕は固めのものを、掛け布団は軽いものを使いましょう。
ふかふかした柔らかい敷布団・マットレス・枕は、うつぶせになった場合に顔が埋まってしまい、鼻や口がふさがれて窒息するリスクがあります。
赤ちゃん用の固めの寝具を使いましょう。
掛け布団は、赤ちゃんが払いのけられる軽いものを使用し、顔にかぶらない
ようにしましょう。また、保護者が添い寝をする時は、赤ちゃんを身体や腕で圧迫しないように注意しましょう。

アメリカ小児科学会(AAP)の『乳幼児突然死症候群(SIDS)とその他の睡眠関連の乳幼児突然死:安全な乳幼児突然死環境に関する2016年の推奨事項を更新』では以下のようにあります。

<本話題に必要な個所のみ抜粋>
・子供が1歳に達するまで仰向けにする
・SIDSや窒息のリスクを減らすため、他の寝具や柔らかいものがないシーツで覆われ、固くしっかりとした面に寝かせる。乳児を寝かせた時、乳児の頭の形状に沿わない固い面で寝かせる柔らかいマットレスは、くぼみを作成し、うつ伏せになった場合に窒息の可能性を高める可能性がある睡眠面を柔らかくするように設計されたものは、1歳未満の乳児には使用しない
・柔らかいものやゆったりとした寝具は乳児の周りに置かない。
おくるみがSIDSのリスクを減らすという根拠はない。おくるみに包むことは、乳児を落ち着かせ、仰向けの使用の推奨によく利用されるが、おくるみをした乳児が腹ばいに置かれたり、転がったりすると、死亡するリスクが高くなる。股関節形成不全の悪化を避けるために、おくるみは股関節と膝に十分なスペースを確保して使用する。

これらの公的機関からの提言は、複数の研究結果を基に複数の専門家で検討され、根拠(エビデンス)レベルは高いとされています。特に上記のアメリカ小児科学会(AAP)は、提言の内容が裏付けのあるものか、論理的に正しい説明になっているかを読み手が判断する材料となる参考文献もあり、信頼性が高いと考えられます。

他に参考になるサイト

他にも医師が開設する、参考になるサイトがありましたので、ご紹介します。
相川晴(HAL)先生 ブログ 赤ちゃんは胎児ではありません〜まんまる育児やおひなまきをすすめない理由〜
さよママ@小児科医先生 Note 【38】小児科医ママが解説「【SIDS(乳幼児突然死症候群)の連載をはじめます】知ることは、安心につながる。」
さよママ@小児科医先生 Note 【45】小児科医ママが解説「SIDS【Vol.7】これだけは絶対に守ってほしい!赤ちゃんのベッド環境。」

まとめと考察

今回は、根拠(エビデンス)レベルに絞って、背中を丸くした姿勢で寝かせる方法を検証してみました。

背中を丸くした姿勢で寝かせる方法(Cカーブ、まるまる、まんまる、おひなまき等)が良い/悪いと断言しませんし、それらの方法で寝かしつけが楽になった方もいらっしゃるでしょう。
ただし、根拠(エビデンス)レベルで考えると、わざわざレベルの低い方法で寝かせることを選択するより、レベルの高い公的機関で推奨されている『乳児の頭の形状に沿わない固い面で寝かせる』ことを選択した方が良いと個人的には考えています

唯一、避けていただきたいのは、育児の先輩方が体験談・個人的感想・ネットで見た・助産師が言ってた等という名のもとに、ご自身の考えと異なる考えを頭ごなしに否定したり、「◯◯のように育ってしまう」というように脅かしてご自身の考え方に強制的に沿わせることです。
赤ちゃんを育てるのは親の役目なのですから、親自身の考え方を尊重して頂きたいと切に願っています。

引用・参考

厚生労働省 乳幼児突然死症候群(SIDS)について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html

厚生労働省 睡眠中の 強化月間赤ちゃんの死亡を減らしましょうhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/sids_leaflet_01.pdf

アメリカ小児科学会(AAP) SIDS and Other Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2016 Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment
https://pediatrics.aappublications.org/content/138/5/e20162938