ディレクターとデザイナーの関係
ここでは、ディレクターとデザイナーの関係について述べてみたいと思います。ディレクターとデザイナーが作業進行のためにいちばん大切にしていることは、あたりまえの事と思われるでしょうが、まずコミュニケーションです。
ここでいうコミュニケーションとは、デザインにおいて、「商品を研究する」「資料を集める」「デザインの検証」など様々な作業があります。その中でディレクターとデザイナーの関係においていくつか大事なポイントがあります。
単純なことをやってもらう時も、企画の始めから説明する。
デザイナーに案件の一部のパートのデザインを頼むとしても、なぜその作業をするのか相手にも意味を知ってもらうことを大切にしています。
デザイナーに自分もその案件に関わっているという自覚を感じてもらうためです。さらにデザイナーを単に手足に使っているわけではない、というディレクターの意思を示すためにも重要なことです。
作って欲しいデザインのため、説明と参考の画像や資料を渡す。
例えば、女性が笑っているビジュアルを探してもらうという状況を想定します。その女性は何歳くらいなのか。微笑んでいるのか口を開けて笑っているのか。室内なのか屋外なのか。仕事中なのかプライベートなのか。誰に向けて笑っているのか。友だちなのか家族なのか。
ゼロから言葉で伝えてもお互いイメージは同じではありません。お互いの共通理解を早くする上でも大切なことです。
デザイナーのイメージを限定しない。
ディレクターひとりの創造力には限度があります。求めているイメージがあっても、自分が気づいていないことがあるかもしれません。デザイナーがイメージ外のアイデアを持ってきても、それを否定しないことが大切です。
そのアイデアをどのように発展させるかはディレクターのスキルですし、デザイナーも自分のアイデアが採用されれば大きな喜びになります。デザインの幅を狭めないためにもいろいろなアプローチを共に探っていくことは可能性を広げることに繋がります。
任せることとフォローすることを見極める。
思っているモノが上がらなくても、交代して相手のデザイナーのPCで代わって作業しないことは大切です。部下を信頼して作業をさせるということは関係性において重要なことであり、デザイナーのプライドを尊重し成長を促す意味もあります。
ただその場合、完成イメージがないまま作業させると気持ちも体力も疲弊するため、ディレクターは仕上がりの答えを持っていることがポイントです。
どの業界でも作業時間の短縮は課題であり効率性が求められているので、裁量を考えて進行させるマネジメント力が必要です。
そのためにはその日に行う作業をお互い確認すること。デザイナーの現在のスキルを見極めること。作業の優先順位を考えること。作業の振り分けをすること。などを明確にすることが、ディレクターとデザイナーのいい関係構築のひとつになります。
そして、デザイナーの現在のスキルより少しだけ高度な仕事を常に経験させつづけること。これが現状に満足させることなくデザイナーを成長させていきます。
デザイナーの育成についての情報を発信します。
たき工房には115人のデザイナーが在籍しており、日々さまざまな仕事で自己研鑽をしています。また、キャリアと適性に応じた研修・育成制度が、個々の能力向上に活用されています。
デザインには、一気に上手くなるような一発必中の魔法はありません。繰り返し反復することにより、少しずつ、デザインクオリティが上がっていきます。
このコラムでは、たき工房のデザイナーたちがどんな方法でスキルアップをしているのかをご紹介しますのでご覧いただければと思います。