専門学校HAL様のスペシャルゼミで講義を担当させていただきました。
専門学校HAL様は「ゲームから未来まで IT・デジタルコンテンツを学ぶ専門学校」として有名です。ゲーム、CG映像、グラフィック、アニメ、イラスト、ミュージック、カーデザイン、IT、WEB、AI…と、業界の最前線がそのまま教育に直結しており、東京校・大阪校・名古屋校では、教科書からだけでは学ぶことができないノウハウが身につく実践的なカリキュラムとして、各業界のスペシャリストを指導者として迎える「スペシャルゼミ」を毎年実施されています。
私が働いているたきコーポレーションに、大阪校出身のディレクターが在籍している関係で今回のお話をいただき、これから社会に出られる学生のみなさんに、「デザイナーに必要な資質」というテーマで、お話をさせていただきました。
私は現在デザインアドバイザーとして、デザインを内製化されている企業様にて、デザイナー育成を目的とした勉強会やワークショップを開催しています。それと同時に「オンラインデザイン相談」というサービスも行なっており、デザインのクオリティアップや、デザイナーの育成、といった各企業様からのご相談にも対応しています。
多くの企業のみなさまとお話しして感じることの一つが、デザイナー職でないマーケティング部や宣伝部の方々が、バナー・販促物・動画など様々なデザインを手がける企業が増加していることです。
アドビ株式会社様が2018年に行なった『企業制作物の内製化に関する調査』によると、デザイン制作物の内製化による「コスト削減」「リードタイム短縮」に、おおよそ30%の削減を期待しており、外注比率が高い制作物の中では、「広告物」「パンフレット・カタログ」「Webサイト」「会社案内」に対する内製化意向が高いという調査結果が出ていました。
また、iPad版のIllustrator・PhotoshopやPremiere RUSH、最近ではチラシ・ロゴ・名刺・メニュー・リーフレットなど様々なデザインテンプレートを選べるAdobe Expressなど、プロユースではなく、誰でもデザインや表現ができるツールをアドビ株式会社様は発表しています。
プロのデザイナーといった専門的なスキルを持つ人たちだけでなく、今や多くのビジネスパーソンにとって、デザインは「必要不可欠なスキル」になり「一億総デザイナー」の時代になりそうな状況です。
そんな中、デザイン学校を卒業して、プロのデザイナーとして社会で仕事をするのはどういうことか?自分のデザインとお客様の利益をどのように結びつけるか?というポイントについて、「こう考えればどうだろう?」という、ある一つの考え方をお話させていただきました。
講義の詳しい内容は控えさせていただきますが、デザインを仕事にすると決めた学生のみなさんが、やりがいを感じるためのほんのちょっとしたアドバイス、と捉えていただけたらと思いました。
多くの企業が制作物の内製化を進めており、外部のデザイナーが活躍することは厳しくなるかもしれません。これはこれからデザイナー・クリエイターとして社会に出る学生だけでなく、今現場でシゴトとしてデザインをしている、多くのデザイナーたちにとっても大きな問題であり、もちろん自分への戒めです。それでもデザイナーとして自分の価値次第では現状を打破できるかもしれません。デザイナーの熱量ってけっこう大きいと思うんです。
聴講されたのは、CG学部の学生の方々で、東京校36名、大阪校31名、名古屋校30名。2日間3箇所で講義というスケジュールでしたが、いい経験をさせていただき、学生並びに学校関係者のみなさまへ感謝申し上げます。
最近の学校での講義や企業でのデザイン勉強会・ワークショップの多くはリモートで行うことが多く、リアルに対面で多くの聴講者の前でお話をするのは新鮮でした。願わくは、お話したことのほんの少しでも、誰かのアタマの中に留まってくれたらうれしいです。
※本講義は学校と相談のうえ感染対策を行なって開催いたしました。