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上司に対する違和感から見えてきた、私の美学。

昨年末に同僚が仕事を辞めた。その同僚に対して上司が言った『ここを辞めるのはもったいない。』という言葉に、私はずっと違和感を覚えている。

とにかくコミュニケーション上手な彼女

私の同期は、とにかくコミュニケーションが上手い子だった。
サバサバした物言いで相手との壁を作らない一方で、人のことをよく見ているため細やかな配慮もできる。

人間関係については割り切って考えている他の社員とは全く異なる方向で、彼女は独自の個性を育んでいた。

時短正社員という境遇で

彼女は私と同じく時短の正社員。
しかも総合職という立場上、時短となっても、他の正社員と同様(かそれ以上)に仕事をこなしていた。

母数が圧倒的に少ない女性総合職は、そもそもの肩身が狭い。時短ともなると尚更。

5時ぴたでのんびり働く事務職の隣で、必死になって働いても、
『今の一般職は優秀な人が多いからね〜。総合職より優秀な人だって多いよ。』
なんて言われた日には、こっちのモチベーションはだだ下がるわけで。

一つ下の位置から見下ろされるという感覚は、きっと私たちにしか分からない感覚。

そんな、互いの気持ちを理解し合える相手がいなくなったのだから、私にとっては自分のキャリアを考え直す大きなきっかけになったのは間違いない。

彼女が辞める時に上司が言った言葉

話が逸れてしまったので、元に戻そう。
そんな彼女が職場を去ると知った時、私の上司は、こう言った。

「あの子がここを辞めるなんて、本当にもったいない。」

最初は、上司にそう言わしめる彼女が本当に誇らしかったし、そんな風に彼女が評価されたことがただただ嬉しかった。
(後日そのことを彼女に話すと、彼女がもとても喜んでいた。) 

ただ、数ヶ月経った今も、私の中にはあの言葉がなんらかの“違和感”としてずっと残っていた。

この会社を辞めることは、果たしてもったいないことなのか

私の会社は金融機関だ。
(人の)お金でお金を生み出しているのだから、当たり前だけど収益=給与水準は高い。
福利厚生もしっかり整っていて、他の人に話したらびっくりするようなタイミングでお金が支給されたりする。

でも、よくよく考えてみれば、これだけ高い水準のお金を出さなければ、人が定着してくれないとも言える。(現に、離職率は昔より上がった印象だ。ステップアップして辞めていくケースが多い。)
つまり、金銭的報酬以外のものを求める人にとっては、さしたる魅力のない会社になっているのである。

あなたと彼女は違うよ

きっとその上司は、恐らく、金銭的報酬が最も大切だと考えているのだろう。
(もちろん、お給料はすごく大切だ。)

だからこそ、『“こんなに割のいいお給料をもらえる会社を辞めるなんて”、もったいない。』と言ったのだ。

私が感じた違和感が何かが、ここで分かる。
それは、『あなたにとってのもったいないと、彼女にとってのもったいない』は違うのだと言うこと。

金銭的報酬は、多くの人にとって大切な要素だ。でも、その割合や優先度は人によって異なる。

それなのに、他人に対して自分の物差しをあてて、さも彼女が可哀想であるかのように語る姿に、私は、『違うよなあ。』と思ったのである。

この会社で働き続けることが、“もったいない”

彼女の真意は分からない。
でも、転職活動をしてみて私が感じることがある。

この上司のように、自分の会社しか知らないにも関わらず、今の会社が一番素晴らしいかのような物言いをする。

そんな視野の狭い人にはなりたくない
であれば、今の会社に残り続けることの方が、”よほど”もったいない。と。

私は、それぞれが“自分に対して”信念を持つことは素晴らしいと思う。
でも、その信念を“他人に対して”向けた時には、その人は単に“視野の狭い残念な人”に成り下がるのだと思う。  

私の美学 

人に物事を押し付けない。
これは、私の美学だ。

だって私は自由に生きたい。
自分が思うままに、誰にも縛られずに生きていきたい。

だからこそ、他人も自分から自由にしたい。
また一つ、自分が大切にしたいことが見えた瞬間。

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