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不思議な雑賀屋さん「古今東西雑貨店イリアス」と私の職業メタモルフォーゼ

「どこも引き取り手がない作品こそイリアスへ」

この言葉にどれだけ救われてきた七年だっただろう。虎に翼、どんなに暴走しても最後の砦にイリアスさんがある私は七年自由に作品を作り納品をさせていただいてきた。

古今東西雑貨店イリアスさんは東京の谷中になる雑貨店。
マニアックな企画展をしたり商品を扱ったり、あるわけないよねというモチーフが「ある」というお店。私のオタク心をこちよこちょとくすぐられてきてお客として買い物も楽しんでました。一般的には「もう普通じゃ物足りない」というところを突いてくれる感じです。
そんなプライベートでも好きなお店が今年の3月末で閉店となります。

https://irias.sub.jp/


私はイリアスさんって閉店するイメージがなくてここから何百年も続いていって霊界の入口みたいになる感じだと思っていたので「私の大霊界 死んだらどうなる」が終了してしまうような寂しさにふとなることもある。
といつつ、寂しいという言葉が500%合わないイリアスさんなので私の中で寂しさは止めて最後までいつもの私でいくつもりではあります。

私はもともとは美容関係の仕事ばかりでしていた人間で作家になるなんて思ってもみなかったです。思ってもみなかった私とイリアスさんの出会いは森三中の大島さん。私は大島さんとは親友で相談したり、報告したり何でも話をしています。。作家になることが最初ではなくて「好きすぎて商品を作ったんだ」が先でその作るという仕事が作家になるということが解らなかった時、私の作品をみて大島さんが「かわいいな。私さ菌狩りしてる大好きなお店があるからそこに行ってみない」というのが始まり。
私にしたら菌狩り?私はどこへいくの(笑)とは正直思っていたが、売り先に困っていた私にしたらきのこ農園でも菌培養センターでもどこでもついていくぜっ!という覚悟ではありましたけど。
大島から「友達といきます」みたいな感じだったかな。半ばアポというか強引に。私も大島も面白いと思ったら勝ち、歳とってあの時笑える人生でいたいと思うタイプなので突撃がんばろーのような感じで大島に案内されて谷中へ。たくさんの雑貨がところせましと並んでいます。ぶつからないようにレジ前に進んでいったのを覚えています。レジに向かうところにちらちらとベニテングのモチーフの雑貨が多いので大島さんの「菌狩り」がピタリと私の中で嵌まりました。たくさんの中から物色をする=狩るとなる。大島さんはきのこの中でも毒性のある華やかなきのこが大好きなのでイリアスさんに菌狩り(きのこ雑貨の買い物)にきてたんだなと。親友が楽しそうにしているお店は私も楽しくなるわけで買い物を・・っとしたいところでしたがまずは営業せねばっ!そそくさと作品を出したら「面白いね」とポンポンとはじけるポップコーンのように話が進みミニ個展をしてみようと。驚いたのですがイリアスさんのオーナーさんも店長さんも大島さんもみんな「面白いやってみよう」の1択。ポジティブな人に囲まれて私もポジティブ。元の性格も諦める前にやってみるなのでそれも良かったのかなと。イリアスさんの中にいた人間はみんな「やってみる」一番初めの取引先になっていただいたお店はとにかくポジティブでした。
ミニ個展の日程は後日しっかり決めていきましょうとお店を後に。よくよく考えて大島と話すのがお客様がいて忙しかったらダメだったよね(笑)と笑って歩く帰り道でした。

数カ月後企画展となり徹夜してこさえた数、100個を届け自分も谷中へ向かう。誰も来なかったらどうしようと不安と疲労で心も体もくたくたでしたがお客様が来てくれた時は涙腺崩壊してオロロオロロと泣いておりました。
オロロと泣いたのが作家のスタート。今考えれば誰だかも知らない作家のミニ個展、お客様がきていただいたのってイリアスさんのお店のファンの方にたくさん告知してくださったりしていたんだろうな。七年経ったいまでも最初に購入してくださったお客様がいまだに購入していただいたりしています。とても感謝しています。にこやかにされているお客様を見てあのオロロと泣いた日を最後に泣くことより笑うことを大切にしようと思ったミニ個展でした。

イリアスさんとのご縁は作家という職業が解らなかった私にとってはオーナーさんは先生で私は「塾長」と呼ばせていただいておりました。
つまり私的に魁男塾!男塾塾長江田島平八のような絶対的な塾長、イリアス塾長となったわけです。解らないことは常に相談したり、作家になってメンタル落ちることもあるわけで、そんなときに手紙書いたりしたり・・色々アドバイスいただいてました。初めてつくるって楽しいなって感じることを教えてくれたのはイリアスさんでした。兎にも角にも塾長は作家のテンションを落とさない上げて上げて上げられる天才だと思ってます。いつも悩みなんだったっけ?ってなってサクサク作っていましたから。何の術なんだろう(笑)
制作の材料の為に売れることも大切だけど数年後の出会いでお客様の元へいくご縁の幸せさを教えてくれたのもイリアスさん。
たしか干支の張り子を納品したときに茶色くて平たい手のひらサイズの張り子があってイノシシではあるのですが「コロッケ」という愛称がつき、売れずに数年コロッケだけイリアスさんに鎮座してました。
何年もコロッケが売れないので「アート大福」とコロッケのボディに描いてイリアスさんのコーナーに置きなおそうと思った矢先、店長さんから電話がかかってきて「コロッケお嫁にいきました~!」と。
私は総菜屋、イノシシというワードは消えてコロッケとなったイノシシ。私もコロッケは看板と覚悟を決めていた時にコロッケはお嫁に行き、数年先の出会いも含めて作れるということは好きなものを自信を持って作り続けていいんだって確信に変わった瞬間でした。
色々チャレンジして不安でもイリアスさんが引き取ってくれることは私にとって宝でコロッケの話は本当に思い出深い話です(コロッケではなくイノシシですが 笑)私の場合は企画展では期間が終了してしまうと戻ってきてしまうので前代未聞の長期戦ずっと置かせていただけたお店はイリアスさんだけ。オーナーさんも店長さんも長期戦のご縁も大切にしているんだろうな、1個ぐらい化石みたいな作品はあっても面白いし良い。
作家の個性を大切にしてくれている気がします。
イリアスさんのコロッケおかげで「一人に響く好き」も含めて作れるようになってきて売れなくて戻ってくることがあったとしても「私は好きだし推しだけど時代が追い付いてない」と。完全にそうでなくとも根拠のない自信で頑張ってこれました。マイナスなことが笑えたりできるのって自分のしていることが好きだからかなと感じます。健康だったらずっと続けていきたい仕事にさせてくださったイリアスさんはやはり何か術を・・・笑

色々お世話になったイリアスさんに私は何を納品しようかな。
最後まで「どこも引き取り手がない作品こそイリアスへ」で私にチャレンジさせてください。3月末までよろしくお願いします。