おおきなかぜのよる
2017年の秋、アベと名乗るイラストレーターから展示をやらせてくださいという電話がありました。
僕らは西荻窪に移転してからはレンタルをやっていないので展示の募集はしていません。とりあえずメールでの連絡をお願いし、断る前提で電話を切りました。
送られてきたメールには、挿絵を担当した書籍「THE WONDER MAPS 世界不思議地図」のイラストが添付されていて、その絵は動物や架空生き物が毒ある細かいタッチで描かれ、不思議建造物の小さなイラストまでもが手を抜くことなく真剣に描かれていました。
かっこいい。。ぜひお願いしよう。無言でカマタと意見が合い、阿部結さんに翌年5月の展示をお願いしました。
展示「うろんな一族」は阿部さんの気合が炸裂した展示でした。「うろんな一族」という展示絵で作品集をつくり、ポスターを刷って、大型パネルもつくってきたのには驚きました。
この展示は盛況に終わりましたが、僕が何より嬉しかったのは、阿部さんのことをお客さんがウレシカで知ってくれてファンになり、絵本編集者が彼女にその後仕事を依頼したことです。 絵で食っていく!と強い願いを持つ女性が自分の人生を自分で掴み取っていくのを現在進行形で目の当たりにできていることです。
阿部さんは、当時シェアハウスに住み、仕事に通いながら制作をしていました。普段なに食べてるの?と聞くとワンハンドで食べられるものと即答。右手でペンを持ってるので、描きながら食べれるおにぎりやサンドイッチなどと答えました。 限られた時間に労力と魂すべてを絵にぶっ込んでいて、できた作品が世間に広がっていくのは本当に喜ばしいです。
ウレシカでの「おおきなかぜのよる」(ポプラ社)原画展は、もうとっくに終わってしまったけれど、怖く美しい夜のなかに温かい希望を感じる渾身の絵本です。ぜひお手にとって欲しいです!
あー、原画最高だったのに終わってから投稿しちまってる!
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