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『よ〜し!ここらで、初体験の話でもすっか!』レビュー
とても面白かったです。読ませる(引き込む)力が圧倒的でした。毛色は違いますが、太宰治の「人間失格」以上に読みごたえを感じました。
印刷工場を辞めた経緯~すき屋での号泣は、以前もどこかで読んだ記憶がありますが、今回はその大事故っぷり?が際立っていました。一つ違えば、無差別通り魔(すき屋の客を皆殺し)でもしそうな、鬼気迫るものを感じました。
その後、ビッグ山氏と、絵画教室でほのぼのと童心を解放してから、池袋で童貞(童心)卒業とは……まるで神が作為した展開のようですね(笑)
そんでもって、童貞の分際で「手コキ」を見下し、シャレオツなファッションを気取りながら二千五百円の成立料をせこり、背が小さいからマンコも小さいだろう=マンコの締まりが最高なはず……さらにそのマンコの締まりをバカボンドの台詞に託して祈る……。までの一連は、プールの清掃員の白く濁った鼻息や、ファンデーションを顔にグチャー!以上に、動物的で生々しい煩悩の権化を感じました。
また、彼女が自分の歳を「にじゅう」と言ったのも印象的でした。そうそう、ビッグ山氏の武骨な平仮名台詞なども響きが良く、全体的に話の趣旨からそれた細部もいちいち光っているのが、素晴らしいと思いました。
そして、いざ事に入ろうというその前にまずお金を請求されたり、キスはダメとか、マンコに触るなとか、何だコイツ!?と怒りで萎え、とりあえず義務的に乳首を吸いつつしながらもやがて獣と化し、さあ凌辱したるどー!うひゃひゃーい!と、バターが溶けた崩れ魔顔で仕切り直すも、なんとマンコがガバガバだった(バカボンドのバカ!)という絶望へ転落……。いやいや、ようやっとこさ、ちんこに引っ掛かりを覚え、ガバマンへの対応策は運動神経なり!と結論し、まるでゴミ箱に投げ捨てるように、煩悩汁を腹のうえにビャッビャッビャーーー!!にもかかわらず、「出会った最初の頃がいちばん仲が良かった。でも、別れることによって、その最初の出会いがまたやってきたような気がした。」という光を差し込む余地が残ったラストまで、すべて素晴らしかったと思います。
「今なら書けそうな気がする」ということは、今が「出し尽くす時」かもしれませんね。今後の作品が楽しみなことはもちろんですが、出し尽くした後に、しまるこさんがどう変わっていくか?もとても楽しみです。僅かながらタリーズ?コメダ?代(公的支援からではなくnoteで稼いだ分)をサポートさせて頂きますので、引き続き神との対話を楽しんでください。
29歳10か月で童貞喪失した兄貴より
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