SAVORY COCKTAIL と名付けました、のお話
ondorioはワインが無いレストラン(の予定)です。
新しくオープンするレストラン、ondorioではワインではなく、カクテルをご提供します。
そう、ワインが無いレストラン。
カクテル、といってもいわゆるバーで楽しむようなカクテル、例えばモヒートやマティーニ、のようなカクテル(アルコール度数が高かったり、甘かったり、風味が強かったり…など)では無いです。
近年ではレストランでもペアリングの内容にカクテルがあったりします。
いわゆるペアリングカクテル。
料理に対してアジャストし、ワインのペアリングの考え方と同じように
その料理と同じ要素をカクテルに加えることで、よりその要素を伸ばしてあげたり
料理に足りない要素をカクテルに加えることで、より料理を楽しめたり
料理の持つ要素と逆の要素を当てることで、ポテンシャルを引き立てたり
ペアリングカクテルこそ、カクテルのポテンシャルが発揮されるのだと思ってます。
*料理に対してアジャストできる、その料理にはコレ、が一番合う、というドリンクができる、イメージ。
ondorioではペアリングカクテル程、料理に対してアジャストしているわけではなく、そのカクテルは大体こんな感じの料理を楽しめます、といった幅が効くカクテルです。
*このワインは大体こんな料理と合いますよ、に近いイメージ。
カクテルの魅力に気づいたきっかけ
カクテルの更なる魅力、カクテルと料理を合わせることで、 こんな体験ができるんだ、と新しい経験、価値を教えてくださったのが、BEE'S KNEES(京都のSPEAKEASY BAR)のヘッドバーテンダーの有吉さんでした。
コロナ禍に有吉さんのペアリングカクテルのイベントを開催する中で、カクテルと料理を楽しむゲストの表情や感想を見たり聞いたりし、実際に自分もペアリングカクテルを飲ませていただくことで、知ることができました。
もっとこの楽しみ方や体験をたくさんの方にも知って欲しい、と今回のレストランの内容を思い付きました。
ワインは、難しい、という当たり前なことを改めて感じたきっかけ
数年前に、ナチュールワインをメインに扱う飲食店の立ち上げをさせていただきました。
いちいち言わなくても良いのかもですが、自分はワインエキスパートの資格(飲食経験歴が必要ないソムリエみたいな)とソムリエの資格を取ったぐらい、ワインは本当に大好きなんです。
そのきっかけもあり、いわゆる業界が定義するナチュールワイン、についても勉強するようになりました。
その時の話をすると長くなるので、簡潔に思ったことをまとめると
ワインは難しい、でした。
提供する側の難しさ
お客様もワインに詳しい方、そうじゃない方、さまざまです。
レストランのコンセプトやターゲット、サービスマンのスタンスにもよるのですが
サービスマンはお客様が滞在する2時間とかの時間内で、目の前のお客様がどれくらいワインに興味をお持ちなのか、を探り合いしていきます
牽制し合う感じ、でしょうか。
ワインの一般的な知識をお持ちで無い方に、品種や産地のアテンドをしても響かないでしょうし、
逆に知識をお持ちの方に、簡単な説明だけだと響かないでしょう。
そもそもワインの情報はスマホで確認できますし、じゃあ何をアテンドするべきなのか、という議論もあるかもしれません。
その中で自分が良く考えていたのは、なぜこのワインを置いているのか、どういう方から仕入れているのか、作り手の方はどういう方なのか(やはり直接生産者様に出向いていないので、あくまでインポーターの方やネット情報になりますが。)をお伝えしようと試みていました。
というのと、テイストのアテンドも、よくワインの表現に使われる
ニュアンス、という言葉、実際私もよく使ってました。
パッションフルーツのようなトロピカルなニュアンス、印象、みたいな。
難しいし、分かりづらい
それをいかにお伝えするのか、が大事な部分だとは思うのですが
お客様がどういう方なのか(もしかするとすごく詳しい方かもしれないし、そうじゃ無いかもしれない)の探り合いの中で、やはり難しい。
あくまで自分のスタンスとしてはワイン自体の情報、よりもその先、想いやストーリーの部分を大切にするようになりました。
要はサービスの難しさ、とワインを扱わせていただく側の難しさ、です。
ワインに付加価値をつける、にこだわると
そもそもナチュールワイン、という表現もあまり好かなくなりました。
例えば、その生産者の方の想いや考えがあれば決して、酸化防止剤を活用しても良い、と個人的には思います。
*美味しく飲んで欲しいとか、主体が飲み手であれば。
あえてナチュールワインという言葉を使うのであれば、その本質は、想いや考え方、であると思います。
エチケットが映える、オシャレ、も大事かもしれませんが
ナチュールワインをトレンドとして、集客ツールとして扱っている(ように見える)飲食店もよくみられます。
またECが進み、自宅でワインが楽しめるようになりました。
気になるワインを検索する、好きなワインショップやそのECから注文する。
しかもその価格は、レストランや飲食店よりも遥かに安い。
*レストランだと6,000円以上するワインも、ECやショップだと3,000円前後とかで購入できるイメージ。
だからこそ、レストランや飲食店は、ワイン自体の価値に対して、付加価値をつけます。
それはグラス、なのか、ワインの扱い方(温度や保存など)なのか、空間や座り心地、居心地、サービスマンや、ワインや生産者の方の情報、なのか。
一般的な飲食店のグラスワインの原価率は20-30%とかかと思います。
ナチュールワインをグラスワインで提供する場合は、高くて40-50%もありえます。
ワインの生産者様に届いている売り上げは20-30%なのかというと、そうじゃなくて、グラスワインの単価に対して、もっともっと利益率は低くなっていきます。
(インポーター、送料、そもそものワイン原価、瓶、コルク、エチケット、デザイン、保管、人件費などなど、想像できないぐらい還元率は低いのではなか。)
だからこそ、飲食店やレストランはその付加価値に、とことんこだわる必要があるな、と感じました。
自分自身の性格が頑固ということもあり、レストランをするにあたり、ワインを扱わせていただく場合には、扱うワインの生産者の方にお会いしたり、ストーリーや背景を知ったワインしか扱いたくない、と考えるようになりました。
そのワインは自信を持ってお客様にお勧めできるし、アテンドができる。
ただそれは、個人店、であれば可能かも知れません、がチームでする、となるとなかなか難しい、という判断になりました。頑固なので。
ワインが好きだからこそ、そうなりました。
うちのお店よりも、もっとワインが好きでワインを楽しめるお店やレストランがある、とも思います。
だからこそ、そういうワインへの想いと、カクテルのポテンシャルや魅力を伝えたい、という想いがあり
ondorioはワインがないお店、カクテルを楽しむお店、にします。
伝え方が難しく、愚痴っぽくも見られて、書くのを悩みましたが
自分の価値観をしっかり発信しようと思い、書きました。
Savory Cosktailsとは
ペアリングカクテルほどその料理に対してアジャストしていなくて、このカクテルは大体この辺りの料理と楽しめます、ぐらいの万能感があるポジショニングのカクテル。
それこそ白ワインや赤ワイン、ビールが基本的にはいろんな料理と楽しめるように、をイメージしたカクテル。
リストランテよりもトラットリアとかビストロのような活気の中のイメージで、料理と楽しめるカクテル。
そのポジションのカクテルに名称をつけたいと考えています。
*一般的によく楽しまれるレモン酎ハイとかハイボールとかも含まれると思う、けれどもう少しテクニカルで複雑さや面白みのあるカクテル。
カクテルとレストランのお店をする、と言うと、変わったカクテルを置くの?とか、可愛いカクテルを置くの?とかを言われます。
プレゼンが面白かったり、見た目が面白かったり、とか。
カクテルという言葉だけだと、人によっていろんなカクテルを連想します。
だからこそ、ondorioはこういうカクテルを提供します、というのをジャンル分けした新たな用語を作ることで、分かりやすく伝えようと思いつきました。
ナチュールワインという単語が一人歩きして、たくさんの方に認知されたように、 カクテルの新しい楽しみ方としてたくさんの方に認知して頂けて、広まるような名称ができたらな...と思ってます。
その仮案として
Savory Cocktails、風味豊かで食欲をそそるカクテル、旨味のあるカクテル、料理との組み合わせや料理の要素をカクテルに取り入れたイメージ。
Savory Sips、Savory の料理を連想する単語に合わせて、一口ずつ楽しむこと、飲み物の意味を強調した単語 Sipsを組み合わせたバージョン。
モダンとか、ハーモニーとかwithとかガストロとかキュイジーヌとか...いろいろ考えたのですがなかなかしっくりこなく、 意味合いやニュアンスで今今しっくりきたのがこの単語でした。
けどまだ単語として覚えづらさがあり、一人歩きまではいかない気が大いにします... お店として共通言語として扱うのも良いと思うので、いろいろ考えたいと思います。
イメージという言葉を連発していますが、この試みはなかなか日本でもみられない形、だからです。
これからお打ち合わせを進めながら、そのイメージを具現化していきます。
ondorioのポジショニングとしては、あくまでカクテルの魅力に気づいてもらう、その入り口。
ondorioをきっかけに、ペアリングカクテルのレストランに行ったり、バーに行ったりしてもらえたら嬉しい、そんな感じです。
ワインへの想いが長くなりましたが、またSavory Cocktailsについてもっと発信していきます、のお話でした。
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