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癒し系?

少し前に缶コーヒーのCMで『癒し系』なんて言葉が流行りましたね。
なんかいいですよね『癒し系』。ネーミングだけでもなんだか癒し…。

今回はちょっと、この”癒す”ことについて深掘りしてみます。

例えば、愛犬と触れ合うと、つい「癒されるー」 なんて言葉を使いますが、『癒す(healing)』って実は自動詞なんですよね。つまり“癒す”とは自分自身のことであって、愛犬が私を“癒す”ものではないのです。愛犬が寄り添ってくれる中で、自分が自分を”癒す”ということなのです。



苦悩と癒し

「人生楽ありゃ苦もあるさ~」と歌ったのは水戸黄門に出演されていた里見浩太朗さんです。江戸時代から、これだけ文明が進んでも解決できることと解決できないことがあるのだから、苦悩は続きますよね。だからと言っては何ですが、人間には生まれつき“癒す”力が備わっています。私コレ、言い切ります。


「じゃあさ、どうしたら”癒す”力が発揮されんのよ」というツッコミ、ここですよね。
答えから言うと、”癒す”力が発揮されるのは、変化を受け入れることから始まります。つまり解決できないことを背負うこと。でもね、こんなん口で言うほど簡単じゃないのですよ。突然コロナで会社が倒産したり、家族の介護で人生の予定が変わったり・・・。さらには、自分が末期がんになって家族より先に死ぬことが決定されたり、愛する人が死んでしまって描いていた人生が描けなくなったりしたら・・・。受け入れられませんよ。

トム・A・ハッチソンは「whole person care」という著書の中で重要なことが書いています。
『人生において重要な絆と意味を持ち、心の傷や苦悩と新たに向き合って歩めるように、癒しの旅を支援すること』がケアとして求められているというのです。
そう考えると、先ほどの例え話の愛犬は、まさに無言で癒しの旅を支援していたと言えますよね。


癒す力

繰り返しますが、人間には生まれつき“癒す”力が備わっています。でもこれは自分一人ではなかなか発揮されないのですね・・・。それを発揮させるのは意味、成長、Community、信頼、信仰、愛、希望など… 他者や何か(ここでは人間同士だけでなく、物や動物や自然、神や大いなるものを含む)との関係性、つまり<拠り所>の中で生まれるのです。

しかし私も含め、本当に苦しいときは自分が大切にしている関係性、拠り所を見失ってしまうことがあるのです。だからそんな時、『あなたの中にあるコレって、なに?』とか『苦しいけど貴方の中にこんな素敵な癒しの力があるのよ』とか、その人が持つ力の再発見のお手伝いをすることが私たちの仕事なんですよ、実は。
それはまるでその人の、笑顔の、涙の、人生の一瞬を、写真や絵に収めるような活動です。

解決できる問題は積極的に解決できるよう支援するべきです。しかしそれでも解決できない出来事があります。そんなとき “癒す”力は解決できない出来事を背負う力となります。

もしご自身の中にある”癒す”力を見失ってしまったとき、声をかけてほしいと思います。


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