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スピリチュアルケアの根拠
科学は統計学的根拠が基本
「厳密な定量的研究による統計学的に有意なデータが医学研究、臨床そして教育において受け入れられる唯一の入り口となった。」(Whole Person Care:P10)
新しい薬や治療が認められるには、治験などを得てデータを集積します。今回は日本ではまだ新しい?スピリチュアルケアの根拠についての一考察をお伝えしたいと思います。
データは蓄積されると納得だし、安心しますよね。新しいワクチンはこの話のいい例です。データの集積が少ないまま開始されたおかげで期待と不安が混ぜこぜとなりました。
スピリチュアルケアの根拠は?
ところがどっこい、私の専門であるスピリチュアルケアは採血してもCT撮影してもデータが集まりません。また精神・心理的なものであれば症状の変化を追跡します(不眠の改善、食事量の増加、不安の減少など)が、スピリチュアルケアはそれともちょっと違うのです。
精神・心理よりも深い<ココロ>
以前にも書きましたが、スピリチュアルケアはその人のSpirit、Spiritualityをケアすること。つまりその人の<ココロ>に触れること。そして<ココロ>が動くことを「感動させられる」と言います。この《感動》が大切になります。ただ「感動させられる」とはいわゆる映画を観て ”涙 拭き拭き" ではありません。喜びも悲しみも含めて<ココロ>が動かされるときのことですね。そして<ココロ>が動かされると私たちは ”行動” に何らかの変容を体験します。例えば「感動させられてスポーツを始める」、「家族の病気を知って看護学校へ進路を決める」、「人に助けられて、人に関わる仕事を目指す」ナド(継続するかは今は置いといてですよ)。
だから、そんなスピリチュアルケアの根拠は“行動”の変容が一つの指標となります。
おばちゃん化粧する
私がホスピスに訪問ケアをしていた時の話ですが…。ある時、ホスピス・スタッフから言われました。『坂詰さんが来る日に、(病を抱えた)おばちゃんが化粧をし始めるのよ』。
これは彼女が何かに「感動させられる」中で ”行動” に変容が起こったことと言えます。
「そんなんスピリチュアルケア師じゃなくても、そうかもしんないじゃん」というあなた、その通りです。
ただおばちゃんは病を抱えて ”ホスピス” に入所していて、訪問していたのは紛れもなくスピリチュアルケア師でした。
もしこれを否定するならば、スピリチュアルケア師以外の人が、ホスピスにいるおばちゃんに化粧させちゃわないと否定できません。
スピリチュアルケアが認められるために…
スピリチュアルケアはスピリチュアルケア・スタッフの専売特許ではありません。私が働く在宅医療部のスタッフは、感性豊かで、自然と<ココロ>に触れるケア(スピリチュアルケア)を実践しています(びっくりするくらい素晴らしいんですよ)。
ただ今の日本国内で精神・心理と
Spirit、Spiritualityの区別を明確に言える人は少ないのも事実です(だからこそ、私たちスピリチュアルケア・スタッフが専門性を持つのですが)。
だから日本でスピリチュアルケアが認められ広まっていくために、私たちスピリチュアルケア・スタッフは<ココロ>が動かされるケアを、もっともっと皆さんに届けていかなければなりません。