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2024年12月締め請求書のお手紙
私たちデザインモリコネクションは、陶磁器デザイナー・森正洋さんのデザインした製品の卸売を主な活動としていて、毎月、お取り扱いいただくショップのみなさまへ請求書をお送りしています。
ふと思い立って、2021年9月分から、請求書を発送する際、お手紙を同封するようにしました。その時々に思ったことなどを書いています。何を書いたか保管しておく意味もあり、noteに置いておきます。
請求書をデジタル化した方がいいんだろうけど、その場合、こういうお手紙をどういう形でつけたら良いのか、悩ましいところ。
先日、武雄こども図書館で絵本を借りて、隣のゆめタウンに行きました。年末なので、ゆめタウンの出入り口には、日本赤十字社の海外たすけあいの募金箱を持つ人たちが立っていて、制服を着た高校生らしき男女と年配の女性たちが募金を呼びかけています。ゆめタウンからの帰り道、募金しようと思い、財布を出して1,000円札を箱に入れようとすると、年配の女性が「音のしない金額!」と喜んでいて、その時点で何かひっかかるものがありつつ、続いて、別の男性が「募金する姿を背中からでいいので撮らせてください」とのことなので、それは了承し、年配の女性が「こどもさんに入れてもらって!」としきりに言っているのは無視して、私が自分で募金箱に入れました。すると、こどもに向かって「ここ(募金箱)に手をおいてみて!」と言って、こどもが募金した様子として写真を撮ろうとするので、「実際に入れていないのに入れたふりをするのは嫌ですね」と伝え、その場を去りました。こどもに募金の意味を説明していない状態でお金だけ箱に入れる行為をしてもらっても意味がないし、そもそも募金するなら自分で得たお金を使った方が良さそうです。今回、街頭で募金しなければよかったなと後悔していて、、これからは募金するならネットでしようと思います。いまふと「募金」ってお金を募るという意味なので、募金箱へお金を入れる行為は「募金」ではなく「寄付」なのではと思い検索してみると、その通りでした。以下、「寄付」に変えます。
後悔の要点はおそらく、街頭で立っている人への寄付をどう考えるか、ということだと思います。同じ寄付でも、街頭とネットでは「第三者の目」があるかないか、が違います。自分が寄付という行為をするところを見ている誰かがいるかどうか。もちろんネットでも「寄付しました!」とSNSに投稿すれば「第三者の目」がありますが、街頭で目の前の誰かが持つ箱に寄付金を入れることは、経験としてだいぶ異なります。街頭での寄付には、「自分がいいことをした」ことを募金箱を持つ誰かに見て・認めてもらう気持ちよさがありますし、おそらく募金箱を持つ誰かも「誰かがいいことをするお手伝いをしている」という気持ちよさがありそうです。しかし、その寄付する気持ちよさ、募金箱を持つ気持ちよさは、寄付金の向かう先の、困難や残酷さ、危機に直面した人たちには、何の関係もないことです。
気持ち良くなるために寄付をするわけではありませんが、寄付をして「いいことをした」と思ってしまうのも事実です。こうして書いてくると、私は、自分に可能な範囲で寄付したいと考えるけれど、寄付をして「いいことをした」と思ってしまうのも、気持ち悪いようです。思ってしまうのは仕方がないといえば仕方がないけれど、ネットで寄付する方が誰からも見られていない分、そんなに「いいことをした」と思わずに済んでいて、ネット寄付の方が性に合っていますね。久しぶりに街頭で寄付してみて、街頭募金は「いいことをした」が増幅されるんだなと気付きました(無人の募金箱はその限りではありませんが)。
ここからは余談です。TBSラジオ「荻上チキ・Session」の12月24日の特集「寄付とNPO支援を考える」にて、「寄付」を研究している坂本治也さんが話していたことですが、佐賀県は、ふるさと納税の仕組みを使って、佐賀県内のNPOへ寄付できる取り組みをしています。寄付金の85%が基本的には返礼品なしで自分の選んだNPOへ寄付される模様。ふるさと納税は自己負担が2,000円でそれ以上は税金を納めたことになるので(二重に納めた分が所得税・住民税から控除される)、なんというか、NPOを選ぶことを通じて、税金の使い道を自分で選べるという感じでしょうか。ふるさと納税って自分の住む自治体にはできないのかと思っていましたが、いま調べるとそうではないみたいでした。返礼品があるのが好きではなくて(納税して返礼品があるのは、租税の意義からして不思議な気がします。公共財や公共サービスのために納税するのであって、納税の動機付けとして返礼品があるのは何が何だか分からない・・。自治体間で競争するのが良いのかどうかも疑問です)「ふるさと納税」はやりませんが、NPOへの寄付ならやってみても良いのかもしれません。
2024.12.31
デザインモリコネクション
小田寛一郎