最高の家がひとつ、ふたつ、みっつ……
いいかい?僕が息を止めて、と言ったら、息を止める。いいって言うまで、止めること。
もしも途中で息をしてしまったら―――……。
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薄緑色の瓦屋根の上に、白猫と黒猫が二匹。上空を見上げている。そこから少し離れた黒い瓦屋根の上には、コーン付きのアイスクリームが円形にならべられている。暑いので、当然すべて溶けきってしまっているのだが(黒い瓦なので尚更表面の温度は高い)、辛うじてそれらが白いバニラアイスだったと分かるくらいの塊が、まだいくつか、点々と溶け残っていた。
そのアイスの円の中心に、仏塔か何かのミニチュアが立てられていた。それは金色で、円錐の少し下部が重力でたるんだようなシルエットをしている。その仏塔に出入りしているのは、殆どがウミウシのような極彩色の衣を纏ったカマキリ人間で、長い行列を渦巻状に形作りながら、渦の中心へと進んでいく。その時、遠くの空から固いものが割れるような雷の音がした。稲光は見えなかった。私は静かに顔を伏せる。
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昨日まではTwitterだったけど、今日からはX(エックス)と呼びなさい。そう言われた時の衝撃を、いまだ鮮明に憶えている。その時僕はまだ13歳、童貞で、まだ額も広がっておらず、トラジ・ハイジみたいな髪型の同級生から虐められてもいない。どこから見てもただの健康な、蛙を踏みつけたような声をした中学生だった。
「太陽を直接見てはいけませんよ。目を痛めてしまいますからね」
「はい。分かりました」
「では、帰りなさい。家族が貴方を待っている」
「ほんとかな?」
「本当よ。あの星に誓ってもいい」
先生、あれは星なんかじゃないよ。
昨日ロケットに乗って自殺した、僕の友だちだよ。
「死んじゃうなんて、バカみたいね」
ファンタスティポ。
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すべての参拝カマキリが収容されると、黄金色の仏塔はスペースシャトルのように真っ直ぐ空へと打ち上げられた。太陽の光をキラキラと跳ね返しながら、まるでネジが固いネジ穴に入っていく時みたいに。
その様子をドローン撮影した映像が残されている。
それが、こちらだ。
ワン ツー スリー
(VTR)
ピストルバルブが演奏を始めると、観客たちは一気にヒートアップ!代表曲「」(※編集部へ・代表曲と呼べる曲が不明のため、適当に調べて曲名を埋めていただけると助かります)のイントロが流れた途端、会場は今までにないほどの盛り上がりを見せました。合間のMCでは、メンバーの(※編集部へ・名前を失念してしまいました。誰でも構いませんので適当に埋めてください)~~さん達のユーモラスな受け答えにファンはほっこり。ライヴ・レポートのために足を運んだ私でしたが、会場の熱気に呑まれ、気付けばファンに!くぅー!これが本格派バンドの実力か!圧倒的なステージを体験した同行カメラマンも、思わず夢中で撮影を忘れてしまう程、「ピスバル」の魅力溢れる幸せ満点ライヴでした。次回は、