数字でおもしろいWEBTOONを発掘する:ピッコマ編
前回はLINEマンガ編はこちら
今年になってWEBTOONを読み始めた程度の筆者が、面白いWEBTOON作品を探します。前回と同様に、作品に付けられたハート数を参考に選出していきます。今回はピッコマです! しかし、そこには大きな壁が立ちはだかります。ピッコマは、作品を読まなければハート数を確認できない仕様なのです。
LINEマンガでの集計からの学び
ピッコマ掲載作品のハート数が見えない、つまりLINEマンガで行ったような全てのハート数の測定は不可能と言うこと。しかし、待てば無料部分であれば、23時間に1度、1話だけですが無料で測定することは可能です。どの部分を測定すれば効果的なのでしょうか。まずは前回のLINEマンガのWEBTOONにおけるハート数の推移を見て特徴を探り、ピッコマでの測定方法を模索します。
このグラフから分かることは、ハート数の最高値は1話目。これは1話目での離脱があることを考えれば納得かもしれません。そのあと4話目で盛り上がります。この4話目での盛り上がりは上位作品だけでなく、下位作品でも同様の動きがあるため、慣習として4話目を面白く作る工夫をしているのかもしれません。そして緩やかに下落していき50話を過ぎたところで少し上がります。これは50話を中心に最終話のボリュームゾーンがあり、連載を終了する作品と継続する作品と分かれ目になっているからです。ハート数が少し上がっていますが、実は人気のない作品が終了して、人気のある作品が続いていくため、平均を取ると人気のある作品に平均値が引っ張られ上昇したように見えているだけです。
このことを踏まえて測定方法を決定します。
基準と比較ポイントの定点観測
測定方法
測定対象はピッコマのSMARTOONリストの上から半分ほど
→できるだけ新しい作品を集めて集計したいため。2話目を原点として測定。
→1話目はハート数が高すぎる可能性があるため。32話目を比較点として測定。
→50話目辺りで終了している作品が多いと思われるため、また最後の数話は有料になるため。原点の2話目より30話あとの32話目と設定しました。作品の話数が満たない場合、また32話目が課金の場合はハート数がイレギュラーになるため対象リストから省きます。
ピッコマのハート評価のシステムはLINEマンガと違い、1話に付き10個までハートを付けられる方式です。これは個人的な感覚ですが、ハートを押す場合だと、0か10かのどちらかの評価になりがちなので、比率に置き換えて比較すると大きな差異がないと考えました。そのためLINEマンガにあわせて数字の修正などはしませんでした。そして、スマホをポチポチしながら測定していった結果が以下になります。残存率の高い上位10作品です。
2話目から32話目までの残存率トップ10
LINEマンガと違ってハートを10個まで押せるシステムだと、ハートの上昇が発生しやすいのかもしれません。もしくは純粋に回を重ねるごとに面白くなる展開なのだと思います。トップはほぼ恋愛ジャンルになりました。BLもあり。女性読者層が厚いことが見て取れます。
ピックアップ:優しいあなたを守る方法
ピックアップ:あなたの心がわかるように
数字の良いタイトルが多すぎて絞り込めないと思ったので、追加で52話目でも測定してみました。2話目と52話目での比較。上位10作品です。
2話目から52話目までの残存率トップ10
引き続き恋愛ジャンルが多くランクインしています。概ねピッコマのランキングでよく見るタイトルになりました。話数が満たない作品が多くなり対象のサンプルが多少減っています。
ピックアップ:悪党のお父様、私と結婚してください♡
ピックアップ:悪役のエンディングは死のみ
もっと先の話数でデータを取ってみたらどうなるのかが気になったので、追加で102話目でも測定してみました。2話目と102話での比較です。
2話目から102話目までの残存率トップ10
ランクインするジャンルが変わってきました。恋愛ジャンルだと102話で測定できるものが少なく、結果として男性向け作品がランクインするようになりました。それにしても、『悪女の定義』と『俺だけレベルアップな件』が際立っています。
ピックアップ:悪女の定義
ピックアップ:俺だけレベルアップな件
恐らくこの2作品はWEBTOONの中でもマスト作品であることから、深堀りして見ていきます。
悪役令嬢ものの代表作。1話目より2話目、3話目と序盤はどんどんハート数が上がります。上げたあとは、上下にブレながらもほぼ平行線のグラフが100話辺りまで続きます。そして110話での山場を最後に下降しフィナーレを迎えます。ラストまで人気を維持できずにいたのは残念ですが、100話辺りまで維持しているのは、とんでもなくすごいことだと思います。
そして、月商2億円コンテンツの『俺だけレベルアップな件』
まさに驚異的なグラフ。激しい上下のアップダウンを繰り返しながらも、平行線の様相を続けます。この長い平行線で推移する間に、いくつか話の章が分かれていますが、章の切れ目で離脱が発生していません。特徴的なのはハートが下がった後の反発の強さです。よくある作品だと一度ハートが下がると、そのまま下がった状態が続きます。しかし『俺レベ』では下がったあとに大きな反発があり、下がったハートが巻き返されます。唯一、大きく下がっているのは最後の有料部分のみです。しかもこの有料部分の下がり方がヤバい。『悪女の定義』では無料部分から有料部分に切り替わったところで、約27%にまで落ち込みました。しかし『俺レベ』では、約40%で食い止められています。単純にハートした人の40%が有料部分を読みに行ったと考えると、課金率がかなり高いことになります。実際の課金率はわかりませんが、もともとのハート数の多さと、この有料部分のハート数を考えると月商2億の数字も納得です。そもそも女性向け作品が有利な市場において、男性向け作品でこれだけのハート数を稼げているのは何故か? と言うのをテーマにして考察してみるのもいいかもしれません。
まとめとお詫び。ハート数を見て、埋もれた名作を探すつもりでしたが、『俺だけレベルアップな件』が凄すぎると、言うことを認識させられて終る結果となりました。いや、本当に凄すぎました。