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総量

✳︎今日のひとこと

私はよく「どんなひどいときでも半分はいい側面がある。総量は変わらない」ということを言いますが、そうするとたいていの人が「いいほうを見ればいいんですね!」と言います。
それは違います。常に総量をただ見る、それだけなんです。

例えば、人が死に、悲しい。でも自分は健康で生きている。それも総量です。
でもここで「自分は健康で生きている、だから大切な人が死んでも大丈夫」と思おうとする、それは違うんです。
俯瞰というのがちょっと近いかもしれません。
それができると、長い人生の中で、愛する人は死んだが自分は生きていた、そういう時期があったなあと思うであろう未来を感じることができるのです。メメントモリ的な意味ではなくて。

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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…