別れに慣れる
✳︎今日のひとこと
この年齢になると、死別がたくさんあります。
それはどういうことかっていうと、単にもう会えないっていうことです。
人間は自分に対してもうそをつくから、本人に聞いたからってほんとうのことを言ってくれると限りません。
でも、そういうこととは別に、物理的にもう聞けないのです。
「あのとき、どう思った?私が最後に口の中にハチミツ入れたとき」
「動けない足を踏んじゃって、しかも髪の毛を留めてって言われたのに、あまりきれいにできなくてごめん、辛かった?」
それだけのことが、死んでしまったらもう絶対に聞けない。
きっとこうだったよ、とか、サイキックが「故人はこう思っています」といくら言ってくれて、99%ほんとうだと思っても、1%を確かめるすべがもう永遠にないのです。
そういうことなんだなって、思います。
かといって、生きていくしかないのです、生きてる方は。
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どくだみちゃん と ふしばな
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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…