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独学の限界

システマティックレビューの出会い

システマティックレビュー(SR)との出会いは、Evidence-based practiceに興味を持ったことがきっかけでした。当時のSRはエビデンスピラミッドの頂点に位置していましたが、SR自体が普及しておらず、研究方法に関する文献もあまりありませんでした(当時はCochrane Handbookとにらめっこしていました)。

その後、Mindsからガイドライン作成のマニュアルが公開され、私はそのマニュアルとにらめっこしながら独学でSRを勉強していたのを、思い出として覚えています。

知識が浅い、アップデートされてないことに気づく

今年度から2回目の博士前期課程に進学しましたが、SRに関する授業がありました。Mindsの内容はある程度理解していたので、PICOや検索式の作成方法、Risk of Biasなどの用語には馴染みがあり、脳のメモリを理解に割くことなく勉強することができました。

一方で、アップデートができていない部分もありました。Risk of Biasは2.0になっており、実際に練習して自分でつけてみると、かなり混乱しました(笑)。「百聞は一見に如かず」といいますが、自分でやらないと難しさは分からないものです。

出版バイアスについても、「ファンネルプロットで左右非対称だからでしょ」と軽く考えていましたが、今思うととても浅はかだったと反省しています。ファンネルプロットが左右非対称になる理由は、出版バイアス以外にも、研究の質が低くバイアスがかかっている場合や、対象集団が限定的である場合など、さまざまな可能性を考慮して解釈する必要があると改めて感じました。

同じシステマティックレビューでも視点が違う

SRは学術論文として行われることもあれば、ガイドラインの作成のために行われることもあります。どちらの場合も、以下の項目を評価して、エビデンス総体の確実性を決定します。

  • Risk of bias

  • 非一貫性

  • 非直接性

  • 不精確性

  • 出版バイアス

ここでの気づきは、不精確性と、ガイドラインのSRと学術論文のSRの違いでした。ざっと羅列すると違いとしては以下の感じでしょうか。

  1. 学術論文としてのSRにおける不精確性の評価には、逐次試験解析がよいのでは

  2. ガイドラインではエビデンスプロファルだけではなく、有害事象や保険制度等も勘案した上でCertaintyを決定するが、学術論文のSRではアウトカムを改善するかどうかに重きがあるので同じGRADEでも判定が異なることはある

  3. GRADEは、透明性を担保するものであって、複数のメンバーと一致させることが目的ではない

ガイドラインの作成と学術論文としてのSRには違いがあることを知ったことが、私にとって大きな収穫でした。最終的には、以下の書籍をバイブルとして利用するよう教えてもらい、Amazonで即購入しました(ユーザーズガイドは持っていたので、「診療ガイドラインのためGRADEシステム」のみ購入)。『診療ガイドラインのための』とタイトルにはありますが、学術論文としてのSRにも触れられています。ガイドライン作成者のみならず、システマティックレビューを行うことを検討している方にも良いバイブルとなります。まずは、隅から隅まで目を通してみたいと思います。


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