SDGsへの取り組みが企業の好感度などに影響と8割が回答ーー電通実施の第6回「SDGsに関する生活者調査」から
電通は、第6回「SDGsに関する生活者調査」を実施し、その調査レポートをまとめた。レポート内では、SDGsの「認知率」「認知経路」などについて過去調査結果との比較を行うとともに、企業活動におけるSDGsの取り組みが生活者に及ぼす影響を分析している。
本調査は、日本におけるSDGsの「認知・理解」や「興味・関心」などの現状把握と、今後の検討策を検討する目的で、2018年を第1回として、毎年1回行われている。今年は、全国10~70代の男女計1400人を対象にしたインターネット調査が実施され(調査期間:2023年2月7~10日)、5月にレポートがリリースされた。
SDGsについて「内容まで含めて知っている」と回答した10代女性は72.4%
SDGsの認知についての回答では、「内容まで含めて知っている」と「名前は聞いたことがある」を合わせて、認知率は9割超(91.6%)となった。「内容まで含めて知っている」の回答率は40.4%となり、第1回調査の3.6%から11倍以上に増加した。
さらに「内容まで含めて知っている」と回答した人の性・年代別の内訳を見ると、女性10代(72.4%)、男性10代(58.5%)の順に割合が高くなっている。同社は、2017年3月公示の新学習指導要領で掲げられた「持続可能な社会の創り手」の育成が小中学校に続き高等学校でも2022年度に開始となったことから、10代の内容理解度が年々高まっていると推察している。
SDGsの認知経路はテレビ、男性10代と20代にはSNSの影響力
SDGsの認知経路は「テレビ」が最も多く(63.5%)、次いで「報道機関や情報機関のWEB・SNS・アプリ」(37.6%)、「新聞」(23.8%)となった。「SNS」とした回答は12.7%であったが、その性・年代別の内訳を見ると、男性の10代(33.1%)と20代(34.0%)で高かった。
SDGsに対して9割弱がポジティブな印象
SDGsを認知している人にその印象を尋ねたところ、ポジティブな回答をした人は9割弱(87.3%)と高い結果となった。総じて男性よりも女性にポジティブな印象を持つ傾向があり、中でも70代女性は96.5%と最も高い割合であった。
(図)
テーマによって認知度に開き、理解度の向上も課題
サステナビリティに関連する15のテーマについての質問では、”認知度”の高いテーマとして、「食品ロス」(92.6%)、「ジェンダー平等」(90.2%)、「再生可能エネルギー」(90.1%)が上位に挙がった。「サーキュラーエコノミー」「デジタルインクルージョン」「DEI」といったテーマは30%以下の認知度となり、テーマによって大きな差がある結果となっている。
一方の”理解度”は、上位でも「食品ロス」(35.9%)、「再生可能エネルギー」(24.1%)といった割合にとどまった。認知度の低いテーマに関しての拡大と、さらなる理解度の底上げが今後の課題となる。
SDGsに取り組む企業の好感度・信頼度が高まる
「企業がSDGsに取り組むことの影響」について尋ねた調査内容では、約8割の人が、企業がSDGsに積極的に取り組む姿勢を示すことで良い印象が強くなる、好感度が上がるなどの影響があると回答した。
具体的な項目としては、「その企業の良い印象が強くなる」(59.1%)、「その企業の好感度が上がる/応援したくなる」(56.5%)、「その企業への信頼感が増す」(55.9%)の割合が高かった。また、企業に積極的に推進してほしいテーマの上位には、「食品ロス」「再生可能エネルギー」「気候変動対策」などが挙がった。
本調査の報告を受けて、国連グローバル・コミュニケーション局アウトリーチ部の部長は「SDGsに積極的に取り組んでいる企業に対し、80%近くの回答者がとてもポジティブな印象を持ち、より好感度が高くなるという結果が出たからには、日本の国内外において、SDGsへの関与が本質と信ぴょう性を伴うものになることを確かにすることが重要になるでしょう」とコメントしている。
文:遠竹智寿子
フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ 研究員
トップ画像:iStock.com / loveshiba
編集:タテグミ
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