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🆕第15話  Core


朝の仕込みを終え賄いを食べ休憩の時間に

僕はまだ仕事量が少ないため
比較的長く休憩時間を与えて貰った。

せっかくの休憩時間なので
中目黒の街を散歩した。

中目黒という街は目黒川という
桜並木が両側に立つ有名な川がある。


その川沿いには
お洒落な服屋やカフェが立ち並んでいた。

関西時代の友達が、このエリアで服屋をしていたので、そこに出向き久々の再会と近況報告をした。

中目黒 
phigvel@PROD


店の前のベンチに座りゆったりと
お昼の時間を満喫

修行先の店内とは異なる時間の流れ方

犬を連れてゆったり散歩する人
談笑しながらデートするカップル


環境によって時間の流れは変化する。

改めて思った。

ゆったりした時間もあっという間に過ぎ
お店に戻った。

まもなく午後の仕込み開始

電気が灯される。

炭が熾りパチパチ鳴る。



店長が

「今日は串打ちを教える。
まずは野菜から

シシトウからやるぞ 
肉と違って打ち直しは効かないから
丁寧に打つ事

まずシシトウのフサを手でもぎ取ってくれ

一つ一つやってたら日が暮れるから
五つほど左拳に掴み
右手を使ってフサを取るように


雑にやると身の方が崩れるから
食材の性質を理解して取るように

よしやってみよう。

全部終われば、次に打ち方を教える」

ちょっとした力の入れ具合で
実に穴がいく

でもチカラも入れないと取れない
絶妙なチカラ加減を試していく

3パックのシシトウを処理した。

「出来ました。」

「次は打っていくぞ
右拳に串を10本ほど掴んで打ってく。
小さいものから大きいものへと
末広がりになるように

末広がりは縁起が良いのと
うちの焼き台は奥の方が温度が高いためだ

そして真ん中を打つのでは無く
7:3の位置が、ししとうの重心だから
そこを狙って打て」

7対3を目安に打つ
ししとうの串打ち



真ん中を狙って打つんじゃないんや!
そうか端に行くに従って細くなるから
ど真ん中だとダメなんや

奥深っ。

対峙する素材と向き合い
その素材に適した重心を狙う

同じシシトウでも一つ一つ
カタチが違うから
7:3が6:4になることとあれば
8:2もあり得る。

人間関係でも自分が真ん中だと思う事が
その人にとっては真ん中で無い事もある。

何事も元を辿れば繋がるのだなと思った。

つづく

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