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🆕第16話  simple is so deep


シシトウを打ち終えると
開店まで残り30分を切ってた。
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僕は残りの時間
先輩達が使った
調理器具をただただ洗い続けた。


随所にアナログな職場

皿洗いにもちろん食洗機は無く
全て手洗い

最初は洗い残しを無く
丁寧にやる事を意識した。


スポンジと亀甲たわしとカナタワシを
用途において使い分ける。

基本はスポンジ

修行中 たくさん握ったキクロン



そしてそれでも落ちないものは亀甲たわし

何度もまな板をこすった亀甲たわし



さらに頑固なこびりついたモノはカナタワシ

何度も寸胴をこそいだカナタワシ


では全部カナタワシでええやん!と思ったが
カナタワシは良く汚れを落とす分
傷がつきやすかった。

鍋など金属物には大丈夫だが
テフロン加工のフライパンや炊飯器は
一発で加工が剥がれてダメになる。

なので用途用途に合わせて
三種を使い分ける必要があった。


料理人はさまざまな道具を使用する。

その中でもその仕事に応じて
最適な選択が迫られる。

洗い場一つにとっても
そういった
"選択のセンス"
を磨ける場所なんかなと今となっては思う。


そんな事はもちろん考える暇は無く
目の前にある洗い物を必死で洗い続けた。

そして営業開始

一気に満席になる店内

ピンとした空気にやや活気が入り込む。


そして教育係の先輩から

「今日はソボロを教える」

ソボロとはこのお店の締めの一番人気の
ソボロご飯

ソボロ御飯


視察で来た時の締めに食べた
あの絶品の品だ。

いきなりあの味の工程に触れられると
ワクワクした。

どんな複雑な味付けをしているのだろうか

「いくぞ、
まず冷蔵庫からタッパにはいった
ミンチを取り出し、専用の鍋にこの分量

そうだな、ピン球と野球ボールの間くらい、
そしてタレを一周回して浸す。

そしてシャリを器に平らに盛れ

米の粒を潰さずふわっと、
でも平らに
その上に刻み海苔をまんべんなく散らせ
こぼすなよ
ムラ無く盛れよ

そして着火

ひたすら菜箸でかき混ぜろ
火が通ると肉汁が出てくるから
一回鍋を振って返して完成

あとはスプーンで丁寧に山を意識して盛る事

やってみ」

想像していたよりシンプルな工程だった。

でも各工程にしっかりと
ポイントが詰まっていた。

僕は言われた通りに遂行した。


シンプルなものほど、
外してはいけないポイントが存在して、
そこにどれだけの意識を持っていけるか。



僕が料理をするに当たって
大切にしている事です。


このソボロから学びました。

続く

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