Movies for life
80'の少年達が憧れた1つに、映画「E.T」に出てくるMADE IN JAPANなBMX「Kuwahara」がある。また、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で見せたスケボーのシーン、白地に赤いマークのナイキのテニスシューズを普段履きするセンスなど、ファッションや言葉遣い、気の利いた愛の告白のセリフなど、少年達の背景いたるところに映画から学んだ文化が溢れていた。
TVのブラウン管から知る「流行り」とは違う「海の向こう側の文化」を映画が届けてくれる。当時小学生だった私は、800円を出せば映画館に入れたし、2本や3本の映画を同時に上映し鑑賞できるシステムが当たり前だった今では考えられないサービスに感謝したい。自分の子供達に話しても信じてもらえないかもしれないだろうが、「ゴーストバスターズ」と「グレムリン」が同時上映だったなんて夢のような話であろう。今回のMovies for lifeでは最強の80'年代を振り返る。
1,映画2本を鑑賞出来るシステム
僕の人生を彩るMovies for lifeで欠かせない最強の80'で画期的なシステムといえば、「同時上映」だと思う。1人分の料金で2本映画を観れるシステムで、時には3本観れることもあった。一度入ってしまえば何度でも見れるシステムだったので、私は面白いと思った映画は2回必ず見ていた。すると合わせて4回は見ている事になる。そんな80'sは、Movies for life最強の素晴らしい時代だったと断言出来る。
2,強さのグラデーションを印象づけた時代
さて、当時の私がとても印象的だったと思える女優がいる。「エイリアン」(80'TV初登場)で主人公のエレン・リプリーを演じた、シガニー・ウィーバーだ。
当時の小学生だった私の知る強さの象徴とは、少林寺拳法やジャッキー・チェーンやロッキー(83'TV初登場)ではないだろうか。しかし「戦う女性像」としての新しい「強さ」を見せてくれた彼女の功績は多大で、とにかく強い。エイリアンの上映は1979年だが、5歳だった私が初めて見たのはTV版になる。それから数年後、私は「ゴーストバスターズ」のシガニー・ウィーバーと劇場で再会するのだ。
3,妖艶なシガニー・ウィーバー
80'に上映されたSFX映画は名作が多い。ルーク・スカイウォーカーを主人公とするシリーズも、1作目は1977年だが、2作目1980年、3作目は1983年に公開された。 このシリーズでもレイア姫が強い女性像をしっかり見せている。ゴーストバスターズでディナ・バレット役を演じたシガニー・ウィーバーは、ズール (ゴースト) に取り憑かれて艶っぽい雰囲気に変身し「鍵の神・ビンツ」を待ち受ける。あのエイリアンと戦ったシガニー・ウィーバーがゴーストに取り憑かれ妖艶な女性を演じることは、当時小学生だった私にとってメインとなるストーリー以上の衝撃を感じた。しかも攻撃的な妖艶さなのだ。
4,立ち見が許されていた映画館
今では想像すらしないであろう、映画館での立ち見鑑賞だ。冒頭で紹介した「ゴーストバスターズ」と「グレムリン」の同時上映で体験した、200%の立ち見鑑賞は特に印象深い。
まだ140cmそこそこの小学生にとって「立ち見」という状況は最悪で、とにかく大人の後ろに回ってしまうとスクリーンが見えない。声しか聞こえないし、英語だとさっぱり内容についていけない。何度も見ているとはいえ、見るに耐え難い状況が「200%の立ち見状態」だ。場内での飲食も自由で、コカコーラもビンでの提供だった。店員さんに蓋を開けてもらうシステムだ。
立ち見がどんなに辛い状況かを知っている私は、コーラを購入し一目散に場内に走って行く。コーラの蓋はすでに空いているので、しっかり親指で抑えて走るのがカッコよく感じた。上映開始ギリギリだったで場内に滑り込むものの、すでに大人達で埋め尽くされていたし、立ち見状態だと諦めた。自分を慰めるように先程購入したコーラで喉を潤そうと、フタ代わりに抑えていた親指を外した瞬間、場内は「グレムリン」の惨劇や「ゴーストバスターズ」のゴーズストが散らかしまくった会場と化してしまった。勢いよく走っておかげてとも言うべきか、よく振れたコーラのフタを一気に開放してしまったのだ。その勢いを象徴する様なコーラは、場内の天井にむかって吹き出した。こんな惨劇付きの80'年代Movies for lifeであるが、今思えば本当に良い時代だった。