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音が持つ力と声の表現戦略について

皆さんは声や音が持つ力をご存じですか?私たちが思っている以上に音は多くの情報を与えてくれ、その活用も可能性に満ちているのです。今回は耳ヨリな音の話から「音が持つ力と声の表現戦略」のトーク内容を少しご紹介しますね。

今回のゲストは、「サウンドパワー」著者で音楽芸術博士のミテイラー千穂さんです。


人間が音から得られる情報とは?

音は私たちにいろんな情報を伝えてくれます。ミテイラーさんに音から私たちが得ている情報について伺いました。

私たちの持っている聴覚・視覚・触覚・味覚・嗅覚。その五感の中で、聴覚が1番速く脳に情報伝達します。耳って、目の「まぶた」とかと違って、24時間365日 稼働しているんですよね。その上で、音から得る情報の代表的なものが5つあります。

①「音を発するモノの距離や方向、動きを感じることができる
「音の変化によって状態の変化を知ることができる」
③「危険を察知することができる
④「感情を抱いたり、どんな感情かを推測することができる
⑤「リズムやバイブス、話し相手のキャラクターなどをイメージすることができる

例えば…私たちは救急車が遠くから近づいて来たり、「あ、何か止まった」とか、距離や動きを感じますよね。また、車のエンジン音やクラクションとかの音によって、危険を回避することができたりします。  

また、穏やかな海の波の音や、鳥のさえずりを聞いたりすると、心地良い感情でリラックスできたりしますよね。あと、相手の声のサウンドから、その人が本当は何か心配事がありそう、とか、すごく楽しそうとか、相手の感情って結構推測できたりします。


音と人間のつながり

私たちは音によって心理に同調作用が働き、行動します。この“サウンド・エントレインメント・エフェクト”について3つの観点からミテイラーさんに紐解いてもらいました。

①注意資源の分散

例えば、ヒット・チャート曲をかけると、お店での購入数が増えなかったりしますが、これは「注意資源の分散」と言います。

ヒット・チャートのBGMによって「注意資源」が要求されることで、ほかの商品や文字などの情報に対する「注意資源」が減少されてしまって、予定外の商品を購入する行動が少なくなるということです。

②クロスモーダル知覚

「クロスモーダル知覚」というのは、私たちの持っている五感が、聴覚と味覚のように、他の知覚が交わってクロスして、お互いに影響を及ぼしあう現象、のことをいいます。

例えば、低い周波数帯のサウンドを聞きながらチョコレートを食べると、高い周波数帯のサウンドを聞きながらの時よりも、ビター苦みを感じたり。
また、高い周波数帯で大きなサウンドを聞きながらポテトチップスを食べると、パリッとした食感が増したりします。


③音によるネガティブな影響

ネガティブな影響を与える音を、 BGN・(バックグラウンドノイズ)と言います。BGN は交通や工事など、一般的にイメージする「騒音」のみならず、日常にある、例えば、人の話し声+歩く靴の音+空調ファンの音+PCのタイピング音+BGM+ 電子機器の音、みたいな、あらゆる音で生成された不協和的な音のことです。

BGNの問題は、体調不良や生産性の低下、経済的損失まで発展されます。

その他、まだまだ興味深いお話は本編にて↓


声の表現戦略・サウンドオーラルストラテジー

最後に実生活にも活かせる声の活用ポイントを伺いました。
 
声は顔の表情や外見などの視覚情報と並び、人の印象を形成する重要な情報となります。 また、話し手と聞き手とのあいだに「感情的なつながり」を生み出すこともできるんですね。
声のサウンドパワーを十分に発揮するためには、以下の「6つのポイント」を組み合わせてデザインすることが重要です。

①「音色」聞き手が共感しやすい語彙を選ぶ
②「ピッチ」低いピッチは安心感を、高いピッチは注意を引く時に
③「テンポ」熱意を示したい時はテンポを上げるなど緩急をつける
④「音量レベル」強弱をつけたり、特別な内容は”ささやく”も
⑤「静寂」息継ぎはしっかりとして、十分な間合いを取ることが大切
⑥「プロソディ」話す際には抑揚をつけることが大切

熱意を示したいところではテンポを速くしたり、息継ぎはしっかりとして、十分な間合いを取ること。また、特に注意を向けて欲しい内容を話すときは、その前に「5秒間」の間合いを取ると、とても効果的です。


就職活動の学生さんたちの面接や、仕事でのプレゼンテーションなど…様々な活動やコミュニケーションの場において、上手に活用していただければと思います。

番組目次

●人間が音から得られる情報(2:26)
・五感の中で聴覚が1番速く脳に情報伝達する
・音から得られる5つの代表的な情報
・音色と音階
●⾳と⼈間の⼼理のつながり(7:24)
・⼼理や⾏動に影響するサウンド・テンポ
・サウンド・エントレインメント・エフェクト
・注意資源の分散
・BGMの拍⼦
・⾳楽のジャンル
・クロスモーダル知覚
・⾳によるネガティブな影響
・地球温暖化とサウンド
●声の表現戦略・サウンドオーラルストラテジー(19:45)
・サウンド・オーラル・ストラテジーの6つのポイント
・⾳⾊、ピッチ、テンポ、⾳量レベル、静寂、プロソディ
・6つのポイントを組み合わせてデザインする


いかがだったでしょう?音の可能性はすばらしいものですね。また次回でもミテイラーさんにお話を伺います。お楽しみに!


■ミテイラー千穂さん著書「サウンドパワー わたしたちは、いつのまにか「音」に誘導されている!?」はこちら!

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writing by 株式会社D2CR|音マーケティング 郡 茜

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