シリアル・アントレよこさんから学ぶ起業の際のマーケティング戦略:第2弾
先日、シリアル・アントレであるよこさんに学んだ顧客とのコンタクトポイントの創り方第1弾として、コミュニティづくりにおけるコンタクトポイントの作り方の話を記事にしました。
WE LOVE よこさん
よこさん、て誰よ?という、デジタルファーストキャンプ以外からお越しの方、下記のセミナーを開催している、「株式会社デジタルな振る舞い」の社長さんなのでございます。年末年始の仕事がしんどい時とか、期末の忙しいときに参加するのはあんまりオススメできないわ〜というくらい、スタッフの方含めてメンバーが精一杯振り切るエブリデイ素振り1000回なコースですが、考え方や姿勢が変わるので特に中堅以降の「デジタルの世界、変化が速すぎて、ようわからんことが増えてきたけど、下の子にはいまさら聞けない」オジサマ・オネエサマ世代にオススメできます。
よこさんは、今までにも海外含め数社のスタートアップ起業をしている方です。サラリーマンとは違うコメントが聞けるから、面白いです。
エリートサラリーマンの話は、私の世代はもうお腹いっぱいです。そして、その話延長には日本の将来はないと最近思います。
さて、本日のヨコさんにご相談する起業セッションは、1時間強、具体的なディスカッションがありました。
よこさんファンの私は、記録係をやっていたのですが、前回同様面白い点がいくつもあったので備忘録します。
大きなテーマは、『お客様とのコンタクトポイントの作り方」です。
顧客とのコンタクトポイントをどうつくるか
必ずやってほしいこと
お客様の声を可視化すること。
具体的には、評価してもらって、HPなどに顔写真や本名が難しければニックネームなどでいいからコメントを掲載してもらって、お客様の声を可視化する事。それが次のお客様を呼んでくれる。
コンタクトポイントを増やす方法
1回来て一方通行で、口コミしてもらって終わり、では次が続かない。買ってくれた人や利用者などに、根気強く再度アプローチすることが大切です。
→リテンションマーケティングは新規顧客獲得よりも安いです。
その際、顧客がもう一度我が社とコミュニケーションを取りたいな、と思うようにするためにはどうするかを考える視点が重要です。
顧客の多くは、耳障りの良いコメントをフィードバックします(90%)。
でも真に大切にしないといけない顧客は、評価Bの人からのコメントであり、こういう人からのコメントを吸い上げることが、改善ポイントに繋がります。
イノベーション論では、von Hippelが、こういう特に要求水準の高い顧客のことを「粘着性の高い」情報をもった顧客と言います。粘着性と言う言葉でわかるように(英語ではsticky information)、ネバネバしたものが剥がれにくいように、粘着性の高い真のニーズは移転困難なのです。
そういう情報を持っている顧客を見極めて大切にし、彼らのニーズをベリベリっとはがせるよう、アプローチする必要があります。
コネクティングポイントを増やすためには、一般にはショップカードやメンバーカード等で再訪問や再購入を誘導するのが1つの手法です。
粘着性の高い情報は1回、2回だと聞き出せないので、何度も通ってもらい、利用してもらうことで親しくなって、本音を引き出す、というのが効果的です。
こうしたリピーターに対するリテンションマーケティングにかかる経費は、新規顧客を獲得するために書ける経費の約10分の1なので、一度利用したお客様を大切にしましょう。
差別化について
私は経営学、特に戦略論が専門なので、差別化、と言う言葉をよく使いますが、ヨコさんは、差別化と言う言葉は要注意な用語であるとコメントしていました。差別化よりもポジショニングと言いましょう、との事です。
戦略論では、差別化、とポジショニングは違っていて、ポジショニングというのは、どの市場を攻めるか、という自身の市場での位置づけを指します。ポジショニング戦略というのは、あまりダイナミックな戦略ではないので、変化に弱いです。コンサルタントはよく使う用語ですが、戦略論を考える上ではポジション以外の自社の資源の独自性を高めるという点も重要です。
さて、市場に対して自社が提供できるもの、つまり顧客が何を求めていて、自分は何が提供できるのか、集客して伝えるためには、「ハッシュタグ=独自性」が必要になってきます。
そのためには、自分を棚卸しして、ハッシュタグ、強み、スローガンを作り、きちんとその人達がいそうなところに当たりをつけて会いに行く、行動が肝要になってきます。
加えて、寄らば大樹の陰というか、大きな船に寄る、のはマーケティング上重要です。影響力のある人にコバンザメしましょう。
世のコーチングやカウンセリング、などで独立を試みる人に
コーチングやキャリアカウンセラーの資格を取る人が増えてきています(こちらは比較的女性が多い)。
コーチングとはなにか、を考えると同時に、よこさん的にはコーチングを売る、のではなく、コーチングに必要なものを開発して売る、という発想はスケールアップ出来るので、さすが起業家の発想だ、と思った点です。
例えば、アメリカゴールドラッシュの時代、リーバイスのジーンズを売るために、リーバイシュトラウスさんは、金を掘りに行くのではなく、急増する金を掘る人を相手に商売するという視点の転換を行って大儲けしました。
同様に、視点の転換をして、「コーチングに必要なツールはなにか」を考えましょう。
中小企業診断士等で独立を試みる人に
中小企業診断士の資格を取って、40代以降に独立を試みる人も増えています(こちらは比較的男性が多い。)
どうやって顧客を見つけて、ビジネスとして食っていけるレベルにまでしていくか、と言う相談もよく受けます。
中小企業診断士はやることがごまんとあり、世の中の中小企業は悩んでいる人たちばっかりです。彼らに欠けているものをよこさんは「覚悟ができないことだ」と言います。
この視点が腹落ちするし本日一番おもしろかった点です。
なので、コンサルタントは、中小企業の社長さんに「覚悟の仕方」を教えましょう。
当然、接点を創るために、リアルで出会いに行くこと(商工会議所やネットワーキングパーティなど)、活字、デジタルのメディアを使う(専門誌、コミュニティ紙、商工会議所のニューズレターのネタなど)などどんどん試みましょう。
今日のオーナーズトークの1番最初にあった、動かないと、変化は生まれないし、少しずつでも動き続けることで、長期間で大きな変化が生まれてきます。
クラスメートからは、ペルソナに近い人に、どこにいるかインタビューしてみたり、コワーキングスペースのネットワーキングに参加するのもいいかな、という意見が出てきました。
接点の作り方の逸話として、よこさんの場合、ハラールのWebメディアの立ち上げにおいて、NNAにアプローチして記事を書いている(今でも)とのことです。目につくところはどこかを見つけて、アプローチすること、その中でもどこの属性、どんな人、何を観ているか、をよく考えてアプローチしに行くこと、などが大切です。
こうした話は、活字にしてしまうと、「当然」と思えることなのですが、重要なのは、本人もおそらく当時は悩んでいたであろう先達からの生の意見を聞くことである、と思います。
ビジネスを始めるときのコツ
1.周りに言いまくる、発信しまくること。
2.大きくなるときにどこまで大きくするか、と言う心配事の97%は怒らないから心配いらない。試練は経営者として与えられたチャンスだと思って超えていくことが大切です。でもできないとわかったときには、早めに「ごめんなさい」と言う。そこでも「覚悟」が必要。周りに迷惑かけちゃいますからね。
3.やって失敗すると、そこから学べるので、シナリオは後から書く。
4.自分ができなかったら外から人を連れてくる、できないことがあれば「助けてくれ」とヘルプを探す。
とにかく、「腹をくくる胆力」というのが経営者には大切で、「腹をくくって覚悟しよう」。首までつかってもがき苦しんでも、最後に土俵に立っていた人が勝つ。くくるのは腹であってクビではないです。クビまで浸かっても、頭の先まで浸かる前に「ごめんなさい」する道探しましょう。
私のnote第1号記事にも書いたのですが、私は時々山伏修行にでかけます。まさに命がけで、小事に動じない胆力磨かれます。山伏修行には、経営者が結構多いです。彼らも、普段は人の上に立ち、怒られることなんてなく、自分をじっくり見つめる時間がないくらい日進月歩の変化の中で常にイレギュラーな意思決定を求められます。
人とは違うことを思いつき、それを実行に移すには、余裕と胆力が必要で、それを磨く1つの方法が山伏修行だったりするのかもしれません。
山伏修行にご感心のある方は、お問い合わせください。
神様は見ている!
動いていたら神様はきっと見ている。うまくいく。信じて頑張ろう。
とにかく動き続けることが大切。それが長期間では大きな差を生む、ことを忘れず、経営者は、ビビらず、胆力を持ってガッツリ取り組んでいく必要がある。
1升瓶も重要ツール
その他には、コミュニティマネジメントにおいては、既得権益に対するメリットを持って言ってあげることが大切で、一升瓶2本(ビールじゃだめなのは重要点(笑))を持っていくことで、好転することも多々ある。
あとは、シャッター商店街の活性化、温泉地の活性化などに対するディスカッションが出てきました。
このあたりは自分の専門なので関心はありますが、自分として痺れる内容に発展したわけではなかったので割愛しつつ、面白いコメントはいくつか備忘録。
痺れてはいないけど、まちづくりに取り組んできた自分としては、リアルネタに関してディスカッションするのはワクワクしました。
地域マーケティングの仕方
1.呼びたい人がいるところへ行く。
2.留学生をインフレンサーとして使って発信してもらう。
アマングループ創業者エイドリアン・ゼッカ氏が次に富山に着目しているというのは面白いです。
石川じゃなくて富山なのです。
彼はアマングループ社長ですから、富裕層マーケティングにターゲットを絞っている人で、次のアマンは富山、でしょうか。
よこさんの分類で、インバウンドは階層性になっており、
-バックパッカー
-ミドル
-ラグジュアリー
-ハイエンド
という4階層に分類していました。
ラグジュアリーの上にハイエンドか。その違いはなんだろう?と思って聞けなかったのは残念。
日本は、コロナ前にハイエンド市場を開拓しようとしてコロナで停滞していたが、最近またハイエンドが動き始めました。
現在、欧米のハイエンドは、飛騨高山、山梨、箱根に向かっている、との事です。
そういえば、友人の日本のハイアットの支配人も、ありがたいことに稼働率連日100%でほぼ外国人、と言っていました。
よこさん、ハイエンド、一泊の料金は30万超、くらいでしょうか?と聞いて、そのあたりの話をもう少し聞きたかった、という良い余韻の残る夜でした。
デジタルの話はどこにあるねん、という方、
この話のあちらこちらにデジタルが落ちているのです。
そしてデジタル修行は続く。。。