Bunkamura
1989年開業。
僕の10代が終わろうとする、この1989年、
いきなり天皇が崩御され、昭和が終わった。
アメリカでは共和党レーガン大統領から、
ブッシュが強いアメリカを継承する。
東欧各国の民主化からベルリンの壁崩壊、
中国では天安門事件が起こる。
アメリカは戦争を続け、日本はアメリカに従う。
松田優作が40歳で癌で亡くなり、
「ニュー・シネマ・パラダイス」が
シネスイッチ銀座で公開される。
なんとも期待と不安に満ちた、
1989年ではないか。
ちっぽけな僕は、
この先どうなってしまうのか。
などということが19歳の僕にわかるはずもなく、
僕にとってのビッグニュースは、
若者の街、渋谷のBunkamura開業だった。
美術展や写真展にも、足を運ぶようになっていた。
東京文化会館や西洋美術館のある上野が、
東京では芸術の森だった。
上野は古典にはいいが、やはり流行は渋谷だ。
Bunkamuraのル・シネマもよかったが、
ザ・ミュージアムが嬉しかった。
そしてオーチャードホール。
熊川哲也に出会うのは、もう少し先である。
この年末をピークに、バブル崩壊、
平成不況の坂を転がり落ちていく。
僕が舞踊に目覚める、90年代が幕を開ける。