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第四章

2月には僕が入団して初めてのパート練があった。
チェロパートは6人で、僕が一番の駆け出しだ。自分の音に自信がない。せめてもの救いは、午前中に合奏練があってから、午後にパート練だったことだ。

パート練の先生が指摘することで最もヤバいと思ったのは、右腕、つまり運弓だった。僕のような合奏初心者はどうしても音程を気にしてしまう。音は左手が大事だという思い込みが染み着いていた。それが、違うらしい。オケではむしろ、右腕が音を出す、だから右腕の練習をしたほうがいい、というわけだ。

個人レッスンの先生にも、同じことを言われている。だいたい難しいところは、ゆっくり弾く時に、左手と右手の動きを正確に。左手にどうしても意識がいくなら、右手だけでもゆっくり弾く。ゆっくり弾く時に、無駄な動きがないようにする。左手はよくやるが、右手が、簡単ではない。とにかく、音を鳴らすのは右手であり、リズムや強弱を作るのも右手だ、ということを、パート練でも厳しく言われた。

第1楽章と第2楽章で、3時間はあっという間に過ぎた。特に第2楽章は、上下でパートが分かれる。僕は裏なので下だが、上は主旋律を弾く。意外とテンポが早く、楽しむ余裕はまだないが、大好きな第2楽章を楽しみたいと思う。
なんとか悪目立ちすることもなく、幸せな日曜日だった。

そして、次の合奏練習の直前、あまりに突然の悲しい知らせが届く。

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