ジュリエット・ビノシュ
フランスが誇る現代の女優。
彼女の代表作に何を挙げるか迷うほど。
1994年、「トリコロール」3部作を、
渋谷Bunkamuraのル・シネマで観た。
「存在の耐えられない軽さ」と、
「ポンヌフの恋人」も、ビデオで予習していた。
当時、フランス映画のイメージといえば、
86年ジャン・ジャック・ベネックス監督「ベティ・ブルー」、
88年リュック・ベッソン監督「グラン・ブルー」、
91年レオス・カラックス監督「ポンヌフの恋人」、
92年ジャン・ジャック・アノー監督「愛人/ラマン」。
ジュリエット・ビノシュが、
アカデミー助演女優賞を受賞したのが、
96年アンソニー・ミンゲラ監督、
「イングリッシュ・ペイシェント」だ。
ちなみに、先にも触れたが、
「ベティ・ブルー」と「愛人/ラマン」と、
「イングリッシュ・ペイシェント」に、
共通しているのが、
ガブリエル・ヤレドの音楽だった。
ジュリエット・ビノシュは、
いかにもフランス人らしい女優だった。
地位と名声を獲得しても、驕らない。
大袈裟な演技をせず、目や口元で、気持ちを表す。美しい映像を纏い、どこか神秘的なのだ。
86年の「存在の耐えられない軽さ」で、
まだ若い彼女と共演したのは、
こちらもまだ若きダニエル・デイ=ルイスだ。
アカデミー主演男優賞を、3度受賞している唯一人。
そして、ジュリエット・ビノシュは、
世界三大映画祭のすべてで女優賞を受賞している。
演技派という言葉さえ陳腐に思える。
見せかけじゃない、魂のこもった演技。
たぶん妥協しない、人間性だと思う。
その仕草一つ一つに、自然と意味がある。
だから彼女から、目が離せなくなる。
目は口ほどに、物を言う。