十九歳
1989年の忘れられない出会いがもうひとつある。
平成になったばかりの1月、
まさに受験シーズン真っ只中、
このNHK土曜ドラマを何気なく観た。
主役は当時まだ無名だった、織田裕二である。
尾崎豊の「卒業」を聴きながら、
大人たちのルールや敷いたレールに、
僕が秘かに反感を抱いていた頃だ。
この苛立ち、熱情を、どこに向ければいいのか。
バンドとバイクに夢中だった友人たち。
部活に汗を流し、受験勉強に精を出した友人たち。
自分がひどく中途半端に思えた。
ドラマでは、高校生と大人が、
壮絶な衝突を繰り広げる。
そして、人として、一歩ずつ、
成長していく姿が描かれている。
焦ってはいけない。急いではいけない。
人と比べることも、競うこともない。
ただ汗や涙を流して、夢を見て、
また朝を迎えればいいのだ。
でも友人たちの、
夢中になって生きている姿を見れば、
自分が何のために生まれてきたのか、
考えずにはいられない。
自分ひとりでは何もできない。
ただ愛とか真実とか、
そういうものを探して、
彷徨い歩くだけ。
織田裕二の野獣のような、
怯えた目が印象的だった。
それだけに笑顔も、胸に突き刺さる。
19歳とは、そういう時なんだ。