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アントニオ・ガデス

僕が踊りを始めた当初、
観まくった80年代のダンス映画の中に、
カルロス・サウラ監督、
アントニオ・ガデス主演の3部作がある。

「血の婚礼」「カルメン」「恋は魔術師」だ。
血の婚礼は舞台が先、カルメンは映画が先である。

アンダルシア地方の民族舞踊だったフラメンコを、
バレエの舞台芸術に昇華させた功績は計り知れない。

1978年、スペイン国立バレエ団設立時に、
初代芸術監督に就任する。

が、政治的に解雇されて1981年、
カルロス・サウラと出会い、
1974年初演の作品「血の婚礼」を映画化する。

退団後は自身の舞踊団、
「アントニオ・ガデス舞踊団」を率いて、
世界中をツアー、来日もした。

83年に製作された映画「カルメン」、
さらに86年の来日公演で、
日本のフラメンコブームに火を点けたという。

とはいえ当時はまだ、
男性でフラメンコに興味を持つ人は限られていた。

本来フラメンコは民族舞踊で、僕は正確に言えば、
彼の創ったスペイン国立バレエ団に惹かれた。
男性バイレの躍動や群舞の美しさ、にである。

来日すれば、特に「ボレロ」は必ず観に行った。
そして衝撃的な「ファルーカ」。

なんだろう、この胸を引き裂かれるような、
魂の叫びのような踊り。

いつかこの「ボレロ」、
そして「ファルーカ」を踊りたい。

その夢は僕が30歳を過ぎ、
スペイン舞踊学校に5年間通って、
ようやく実現する。

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