ダンス
1990年、僕は踊り始める。
当時のミュージック・シーンは、
ダンス・ミュージックが主流になりつつあった。
MCハマーとボビー・ブラウン。
ストリート・ダンスは進化していくが、
それに興味はあまりなかった。
ジャネット・ジャクソンとポーラ・アブドゥル。
コレオグラファー、振付に興味があった。
ミュージック・ビデオに釘付けだった。
ポーラ・アブドゥルは、
ジャネットの振付兼ダンサーだった。
デヴィッド・フィンチャーが、
ミュージック・ビデオの監督だった。
機は熟したというか、
1990年、マドンナが「ヴォーグ」を発表する。
華麗なる変身だった。
作曲、プロデュース、そして踊る。
ハウス・ミュージックで踊り、
デヴィッド・フィンチャーが撮った。
これを大学の先輩たちが振り写して、
大学のストリートで踊っていた。
黒い衣装で、まるで本物のように。
圧巻だった。それだけじゃない。
極めつけは、フットルースの流れを汲む映画、
「ロック・イン・ブルックリン」の主題歌、
ミッキー・トーマスが歌う「シング」だ。
この隠れた名盤の、隠れた名曲。
ブルー・ジーンズに白Tシャツ、
青空の下で、男も女も群舞で踊る。
まるで映画を観ているようだった。
それから20年以上、
自分が踊り続けることになるとは、
思ってもいなかった。