編み物で瞑想できる
10月、石川県と福井県へ、知人と旅行に出かけた。福井恐竜博物館などで遊びつつ楽しんでいたのだが、その夜に、知人からこんなことを言われる。
「明日の朝、6:30にセットしてあるタイマーで瞑想を始めるが、あなたはそのまま寝てていいからどうか邪魔しないでくれ」ーー。
翌日、知人はたしかに6:30に目覚め、スマホのアプリでちーんちーんというスピリチュアルな音を部屋に響かせながら、瞑想で精神をどうにかこうにかしていたのであった。この朝の瞑想タイムは習慣として、今年に入ってから、特にコロナ禍の知人のメンタルを支えているらしい。
なるほどなと思ったが、私はどうも「頭の中を空にする」というのは苦手みたいだ。始発に乗って鎌倉・円覚寺の座禅に参加したりサウナに入ったり、それこそ知人のように瞑想アプリを取り入れてみたりといろいろ試してはきたものの、結局いつも頭の中は考え事でいっぱいである。そういうわけで最近は「頭の中を空にする」系のものはもう一切諦めていたんだけど、ここに来て大穴を見つけてしまった可能性がある。スペインのニットメーカーによる編み物キットのレビューをお願いできないかとの話をいただいたので引き受けたのだけど、スキマ時間に編み編みしてみたら、読書や仕事の合間の息抜きとして編み物けっこう最適なんじゃない? と気付きましたね。
いただいたのはwe are knittersというメーカーの編み物キットで、作るものによっていろいろ種類を選ぶことができる。私は、編み物は小学生以来の体験(小学生の女の子、なんかとりあえず編み物やってみる時期があるよな?)なので、もちろん初級編。DOWNTOWN SNOODっていうのを編んでみた。
※DOWNTOWN SNOOD(初級) 、KUMO SNOOD(中級) 、KARA SWEATER(中級)、WOLKE SWEATER(中級)などがある
こんな感じで、キットの中には毛糸と棒針と糸始末用とじ針と説明書が入っており、なんか必要なものは一式そろった状態で届く。こちらで何か買い足す必要はありませぬ。
説明書は入っているものの、私の編み物知識は小4とかで止まっているのでYouTubeで「作り目」「表編み」「裏編み」などの動画を探しながらやりました。
(動画を見ながら作り目をなんとか作ったところ。脳内小4にはここまでがいちばん難しかった)
(表編み、裏編みを一往復くらいやったところ。ここまでくるとあとは瞑想ゾーン)
瞑想やら座禅やらは、できる人はできるのかもしれないけど、何しろ暇なので「頭の中を空に」といってもつい余計なことを考えてしまう。しかし編み物は、手は暇じゃないので、私の場合は瞑想やら座禅やらより「頭の中を空」に近づけやすかったように思う。「編み物」「瞑想」で調べてみると同じようなことをいっている記事がいくつかヒットしたし、私だけが妙な寝言をいっているというわけでもなさそうなので安心してほしい。サウナにも寺にも行きたくない、おうちでぬくぬくしたい、しかし瞑想は苦手だというインドア派のストレス解消に、わりとまじで効果あるのでは。
あと私はちょっとダルイ昔の映画を見るのが好きなので、編み物はそういったものとも相性がいいかも。Amazonプライムでアンジェイ・ワイダの『灰とダイヤモンド』(1958年、ポーランド映画)を観たりとかね……。
(完成が近づいたとき、ほぐれた毛糸を見て一瞬「うどんかな?」と思ったけど気のせいでした)
(長く長方形に編んだものの端と端を接いで合体。完成)
正直、途中で「あ、間違えたかも。完成できないかも。無理かも」と10回くらい思ったけど、編み物を小4以来やっていない人間でも、不格好ながら一応スヌードを作ることができた。近所に買い物に出るときでもこれでぬくぬく。
そういうわけで、私のような「インプットしすぎ人間・文字読みすぎ人間」は手を奪われることでそれに強制的にストップをかけてみると一時的にすっきりするかもしれません(まあ、映画は観れるが)。毛糸なんてなんでもいいのかもしれないけど、we are knittersさんの毛糸はもちもちしていて気持ちよかったよ! 冬季限定のストレス解消法ですね。