いいお店
この日記は2016年10月、宙facebookページで投稿しようとした没日記(メモ)を編集しています。
「いいお店教えて下さい!」
「いいお店この辺にありませんか?」
飲食店を営んでいるとお客さんからよく聞かれる質問のひとつです。
いいお店の条件ってなんなのだろう?
素朴な疑問です。
価値観は人それぞれだからこの質問に答えるのはすごく難しいので本当に悩んでしまいます。
コスパ重視
ボリューム重視
珍しい料理が好き
馴染みのあるお酒が好き
スパイスが好き
パクチーが嫌い
安ければなんでもいい
高ければなんでもいい
スタッフとの会話が好き
絡んでくれないスタッフが好き
居心地が良いから好き
居心地が良過ぎて嫌い
オシャレだから好き
汚いから好き
本当に様々ですね。
どんなお店にも好きな人もいれば嫌いな人もいるのが飲食店。
特に個人店はそうだと思います。
みんながみんな絶賛するお店って逆に少し怖い気がするのは僕だけではないですよね?
うちは、
『イタリアン×フレンチ×スパイス=無国籍料理』
と勝手に定義した料理を提供しています。
多国籍料理ではありません。
どちらかと言えばわかりにくい料理だと思いますが、僕が作りたい料理はこれなので。
お酒は日本酒とベルギービールがメインで焼酎やカクテルやワインは一切やっていません。
貸切のみイレギュラー対応していますが。
そう考えたら、うちはお客さんを選んでいるお店なのかもしれません。
お店が求めているターゲットとお客さんの来店理由がある程度マッチングしていないと、お互い楽しくない時間を過ごしてしまう可能性が高まります。
最悪のパターンは来店理由の違うお客さんが同じ空間にいることで、予期せぬアクシデントが起こるリスクが上がってしまうところ。
過去何度か経験しているので間違いありません。
ターゲットを広げすぎてオープンした僕の欲と自信のなさが招いた結果なのですが。
同じ思いは誰にもして欲しくありません。
僕自身もしたくありません。
今は昔より明確にターゲットを絞っています。
月火水と金土日とランチで利用目的を使い分けてください!
詳細はリンクをチェック。
「ワイン置いて欲しい!」
「焼酎置いて欲しい!」
できる限り要望に応えたい気持ちは持っています。
しかし全てをやってしまうとお店の個性が破綻してしまいます。
いいお店でなくなってしまいます。
「うちはできる範囲のことだけをやろう!」
最近切り替えました。
まだまだ荒削りですが、昔より僕の考えるいい店になってきている気がします。
いいお店の定義は非常に難しいですね。
みんなに楽しく過ごしていただきたいけど、こだわりを持てば持つ程万人ウケから遠ざかってしまうのは真実です。
仕方のないことかもしれません。
何年も前から考えていた「いいお店の定義」が最近ようやく見えてきました。
『スタッフが自主的に楽しそうに自信を持って活き活きと働いている。』
これだけです。
無駄にでかい声で騒がしく「らっしゃっせぇー!」という元気な挨拶は、僕の考える活き活きとは異なります。
自然体で楽しそうに接客し料理を作っている。
僕の考える活き活きはこっちのニュアンスです。
いいお店はターゲットとお客さんの来店理由が必ず一致しています。
お客さんが楽しみに来てくれるので、スタッフは元気もやる気ももらえます。
いい関係がお店とお客さんで築けているんですね。
お互いハッピーになれるんです。
こういう店にすることがこのお店の目標です。
お店だけがハッピーでもお客さんだけがハッピーでもいけません。
お互いがハッピーになることが大切だと思いました。
そしてもうひとつ。
現代の問題、煙草。
僕は煙草を愛しているので愛煙家だと思います。
マナーやルールはそれなりに気をつけているので。
禁煙の飲食店で食事中に煙草を吸いたくなることもありますが、ほんの数時間我慢すればいいだけの話です。
外でも吸えないお店の場合は、お会計のあと喫煙所まで我慢すればいいだけの話なので。
煙草が吸えない場所はたくさんありますよね。
喫煙所としての利用を売りにしている飲食店なら問題ないのかもしれませんが、うちは無国籍料理と日本酒とベルギービールを売りにしています。
店主のどうでもいい話と旅話も売りの一部ですが、煙草が吸えることを売りにしたことはありません。
僕は煙草が大好きです。
しかし禁煙が理由でお気に入りの飲食店に行かなくなったことはありません。
だけど喫煙が理由で飲食店から離れるお客さんの気持ちは分かります。
本当の愛煙家は喫煙ルールを自分で定めませんよね?
妻が妊娠し出産し子供が元気に動き回り。
僕自身、家族で外食するときは喫煙のお店を避けるようになりました。
同じ考えのお客さん、山程います。
このお店は月火水営業のみ喫煙可で、金土日とランチは禁煙にしました。
戸惑うお客さんもいると思いますが、色々考えた上での結論です。
理解して下されば助かります。
いいお店の条件は、コスパでもボリュームでも味でも内容でも珍しいでも馴染みでもスパイスでもパクチーでも高いでも安いでも話し相手でも居心地でもお洒落でもありません。
スタッフが活き活き楽しそうに働いている姿。
これに尽きると思いました。