【意見募集】iPadのゲームの配信をするにあたっての著作権の検討をまとめたけど…合ってるのかわからない

はじめに

こんばんわ。最近、iPad対応のゲーム「プロジェクトセカイ(以降、プロセカ)」のプレイ配信をYoutubeでしていたのですが、これに関して著作権絡みの問題があったため、当方なりに見解をまとめたほうが筋だと考えていました。
その結果、だいたいまとまってきたのですが、これで合っているのかご意見を伺ってみたいと思っています。

大前提

もちろん、このゲームの配信が認められていなかったら元も子もありません。
結論から申しますと、配信可能です。

このゲームに関して、配信などの二次創作についてガイドラインを公表して
います。

「プロジェクトセカイ」の二次創作ガイドライン

その中の「SNS、動画共有サイトでの動画投稿または配信でのコンテンツ利用に関して」という項目で、「コレとコレは駄目」というルーリングを設けられています。
逆に考えると、指摘されている制限項目を遵守すれば配信できることになります

そもそも、今回の本題はそこではないので、「ゲーム配信自体は問題ない」と見ていただいて構いません。

本題

さて、ここから本題。
iPadの画面を配信する方法として、以下の5つが考えられます。

1)iPadをWebカメラなどで手元配信
2)iPadの画面をHDMIで出力して、HDMIキャプチャを介して配信
3)1)と2)を両方
4)AirPlayを使用
5)Mirativなどの配信アプリを使用

ここで問題になってくるのが2)と3)を実践するとき。
というのも、iPadは、HDMIで出力する際にHDCPをかけてしまうのです。

ちなみに、4)のAirPlayでの配信は使えないという認識です。画質がガタガタですし、イヤホンが使えなくなります。AirPlay経由の音を聞きながらiPadでプレイすると音ズレでやれたものではありません。ましてや、プロセカのようなリズムアクションゲームでは致命傷です!
5)はYoutubeのアプリは配信非対応ですし、streamworksなどを同時に使えないので論外です。

HDCPはコンテンツ保護のための暗号化の規格で、これを回避して複製すると、著作権法違反として、コンテンツホルダーから訴えられかねない状態になるわけです。
これに関しては、2012年の著作権法改正でこうなることが確定しています。

これらの知識は、以下の文化庁のサイトに有る情報を元にしています。

しかし、高画質で画面を配信するとしたら、HDMI経由しか選択肢がありません。でも、HDCPどうしようとなっているのが現状です。
HDCPを回避しようとすると著作権に引っかかるのではと思っていたため、二の足を踏んでいました。
(Youtubeで以前配信したものは、この件についてクリアにしてからのほうが良いと判断して非公開にしています)

HDCP回避しての配信は違法ではない根拠は?

しかし、いくつかの配信ノウハウサイトでは「HDCP回避して配信しても違法ではない」という文言をよく見かけます。
(大体のサイトでは、とある方法が紹介されていますが、ここではそれの是非を問うつもりがないので割愛します。まぁ、配信していらっしゃる方がいらっしゃればピンと来るでしょう。アレです、アレ!)

では、ドヤ顔で安全を謳っている根拠は一体どこにあるのでしょう?

文化庁の文言をもう一度よく読んで見る

さて、先程の文化庁のページを再掲します。

Q&Aの問6-2では、以下のような文言があります。

今般対象となる暗号方式の保護技術とは,コンテンツ提供事業者が映画などのコンテンツを暗号化することにより,機器での視聴や複製をコントロールする技術であり,現在,DVDやBlu-ray Discなどに用いられています。
 具体的には,記録媒体用のCSS(Content Scramble System)やAACS(Advanced Access Content System),機器間伝送路用のDTCP(Digital Transmission Content Protection)やHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection),放送用のB-CAS方式などが挙げられます。

平成24年通常国会 著作権法改正について

上記では、「機器での視聴や複製をコントロールする技術」と書かれています。

ある配信解説サイトでは「HDCPはコピーコントロールではなくアクセスコントロールだから回避するのは問題ない」と説明していますが、しっかりとHDCPは著作保護技術手段も含むことになったと明記されているため、根拠としては成立していないと考えています。

しかし、これを回避して著作権侵害になる行為は以下の場合としています。

 DVD等に用いられる暗号方式の保護技術を新たに技術的保護手段の対象とすることにより,第30条第1項第2号において,私的使用目的であっても,技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には複製権侵害となり,民事上の責任(損害賠償など)を負うこととなります。ただし,刑事罰はありません。

平成24年通常国会 著作権法改正について

ここで、「あれ?」と思った方はいらっしゃるでしょうか。たしかに、HDCPは視聴や複製を制限するコピーコントロール技術と書かれています。しかし、実際に複製権侵害になるのは「複製」した場合で、視聴する場合は対象外と見て取れます。

また、HDCPを回避した画面をYoutubeで観たらどうなるのか?となりますが、これについては違法性が無いと判断しています。

問7-4の例がまさにそうだと考えられる根拠です。

問7-4 違法に配信されている音楽や映像を視聴するだけで,違法となるのでしょうか。

(答)
 違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは,録音又は録画が伴いませんので,違法ではなく,刑罰の対象とはなりません。
 違法となるのは,私的使用の目的であっても,著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を,自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為です。

平成24年通常国会 著作権法改正について

余談ですが、Youtubeのキャッシュについても問7-5で言及されており、違法性はないと判断できます。

問7-5 「You Tube」などの動画投稿サイトの閲覧についても,その際にキャッシュが作成されるため,違法になるのですか。

(答)
 違法ではなく,刑罰の対象とはなりません。
 動画投稿サイトにおいては,データをダウンロードしながら再生するという仕組みのものがあり,この場合,動画の閲覧に際して,複製(録音又は録画)が伴うことになります。しかしながら,このような複製(キャッシュ)に関しては,第47条の8(電子計算機における著作物利用に伴う複製)の規定が適用されることにより著作権侵害には該当せず,「著作権又は著作隣接権を侵害した」という要件を満たしません。

平成24年通常国会 著作権法改正について

まとめ&質問

これまでのことをまとめると、

  • 配信者がiPadでの画面を見ながらプレイするのは適法(ゲームをプレイしているだけなので)

  • iPadの画面をHDCP回避してHDMIキャプチャに流し、Youtubeで配信するのは違法に見えて違法ではない(あくまで録画目的ではないため)

    • 以前、ここに追記していた項目は「補遺・動画作成用の動画録画に関して」に移動

  • 視聴者がHDCPを回避したYoutube配信を観るのは適法(完全に視聴のため。文化庁の見解も問題なしと認定、キャッシュ視聴も適法)

なので、HDCPを回避してゲームの配信をするのは問題なしという根拠としていると考えました。

ただ、コレに関しては法律というシビアなものを対象にしているので、解釈として正しいのか、ぜひご意見をいただけたら幸いです。

補遺・動画作成用の動画録画に関して

視聴で問題が無いと認識できましたが、そうなると、動画作成用にHDCP回避した画面を録画する場合はどうなるか?というところです。
まぁ間違いなく引っかかりますよねぇ…。

その際は、最悪、iPadのスクリーン録画機能を使えばいいのではと考えています。
しかし、録画をバックグランドで動かしたことによる、プロセカのパフォーマンスダウンが懸念されますし。
また、手元動画とのシンクロしたい場合を想定すると、至難の業と言わざるを得ないわけで。困った。

追記

Twitterでの投票の結果

以前、情報収集のために、Twitterで投票を呼びかけました。

投票いただいた13名の方々、ご協力ありがとうございました。

結果、直取りとアレ使用の票に見事に分かれていました。
票数が少なく、断定的な判断は危険ですが、やはりアレを使用している層がいるということで参考になりました。

発端ツイート

今回の記事を書いた発端になるツイートを付記しておきます。
スレッドになっておりますので、結構長文になることお許しください。
最終的には、頭がまとまらず、目処が立った段階で何らかの形でアウトプットしようと結論付けました。

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