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狂気的な父②

間違った遊び

父にも、まれに機嫌の良い時があった。
不思議なもので、普段が地獄のような生活をしており父からの愛情を受け取れてない分、機嫌がいい時の父は、まるで後光がさしたかのようにいい人に見え普段の苦しみが吹き飛んでしまうほど嬉しくて仕方なかった。
こんな時は、やっぱり父は私を愛してくれているんだ。皆んなと変わらないお父さんじゃん。と何度も言い聞かせた。
今思えば、抜け出せない環境に、そうでも思わないと心が壊れてしまいそうで防衛本能だったのかもしれない。
これが、きっと世の中のDVを受けている人によくある心境と似たものかもしれない。父にニコニコと笑顔を作り、明るく楽しく演じていた幼少期だった。
少しでも家族が1日を平穏に過ごす、父の機嫌とりのような作戦だった。
子供でも生きていく術を生み出すのだから、逞しいものだ。

まだ幼い私は、良し悪しの判断がつかないときもあり、今なら理解できているが当時は、おかしい父の行動であっても、良いことと認識することもあった。
そう考えると、教育は重要だと思う。
身近にいる大人が、悪を善かのように教え分別がつかないと、その考えで生きてしまう大人になるであろう。
幸いにも、うちは母がしっかりしていたのが救いだった。

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