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顔が変わってなかったおかげで

昔のTV番組では、芸能人の子供の頃の写真がでて、

「今日のゲストの写真です。どなたでしょうか?」

みたいなクイズがあった。


もし、そのクイズ出題に母さんが出されたとしたら、すぐに正解がでてしまうだろうと思うほど変わらない顔だ。

高校を卒業して10年ぐらい経った土曜日の夕方。


友達と三人で新宿を歩いていたら、前から男性三人が歩いてきた。



その人達が数十メートル手前に来た時、一人の男性が、明らかにわたしを指差し、大声で


「あっ!〇〇高校の生徒だぁ」と。



その男性の顔を見ると、なんとなく見覚えがあるようなないような。

一緒にいた友達は、高校の友達ではなかったので、一瞬ナンパと思ったらしい。

隣にいたユリ(仮名)が小声で確認してきた。



「チョコちゃん、ホントに〇〇高?」


「うん」


瞬時に記憶を手繰たぐり寄せる。 


たぶん同学年にいたかも。


どんどん近づいてくる。

どうするチョコ!

顔を確認できるぐらいの距離になった時、


「やっぱそうだ。〇〇高にいたよね?」


「ラグビー部マネージャーのメグミの友達だった人でしょ?」



「うん」


「俺、ラグビー部の〇〇」

その瞬間、思い出した。


だが、友達を通じての知り合いなので、なんと答えていいかわからない。


「あぁ〜〜」


というのが、精一杯。


コミュニケーションお化け?のユリが

「チョコと仲が良かったんですか?」


と話しかけ始めた。


こちらとしては、え〜である。


向こうもコミュニケーションお化けらしく


「いや、マネージャーの友達だと知っていたぐらいだけどね」(今後、彼のことをラグビー部と表記)


そのぐらいなら声をかけないで欲しかった。


よく見ると、ラグビー部の横にいる友達はイケメン揃い。


こちらの人数と同じ。


ユリは、この後の展開を望んでいる様子。



友達だからなんとなくわかる。


一緒にいたツバサからもこの場から早く立ち去りたいという雰囲気が感じられない。


ラグビー部が


「これからどこかに行くの?」


わたしが答える前にユリが


「飲みに行こうかと思っていたんですよぉ」


「俺達も映画の帰りで、これからご飯食べようかと話していたとこ」



「じゃぁ一緒に飲みに行きましょうよ!」



まさかの逆ナン?である。


ラグビー部の友達も嫌な素振りも見せず、


なんだかよくわからないメンバーと飲むことになった。



高校時代、会話すらした覚えのない男子と、まさか一緒に飲むことになるなんて。



あの時代にLINEがあったら、すぐにマネージャーだったメグミに連絡していただろう。



何を話したかは、ほとんど覚えていないけれど盛り上がったことだけは覚えている。



それから数回、そのメンバーで飲み会もしたなぁ。



数年後



ラグビー部の友達ツヨシとツバサがめでたく結婚。




よくわからないが、ユリとラグビー部が恋のキューピットになったようだ。




というか、そもそもわたしとラグビー部が〜と言ったほうがいいのか!?




ドラマだとラグビー部とユリ、もしくはラグビー部とわたしが〜何かあるというパターンが多い気がするのだが、現実は違うものなのだ。




な〜んて話を




なぜか『踊る大捜査線』をTVerで見ながら思い出したのだった。















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