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離婚と年金分割

熟年夫婦が離婚した。彼女は年金がどうなるのか心配していたのでちょっと調べてみた。


|熟年離婚

熟年になり離婚する人は,実は心が長年離れてしまっていて、やり直す意欲が無いという状態が続いていたことで,結果的に離婚に踏み切るという。

知人の例では、妻は、夫が定年退職するまでは経済的な理由があるので離婚できない。子どもが一人前になるまで、独り立ちするまでは・・・ということで,夫の収入を頼りに、いわば経済的理由もあって離婚することのデメリットを天秤にかけながら辛抱して来たという。

そして夫が定年退職し、今度はほぼ毎日家にいるようになると、一日中顔をあわせることになり、また、夫は何もせずにだらだらするも、妻は家事等でそれまでと同じ生活が動くので、両者の心の歯車があわなくなってきたという。

一方夫の方はという、妻の普段の態度等がなんとなくうっとうしくなって来ていたという。妻の心の動き、変化というのが自然と態度などに表れてきていたのかもしれない。
詰まるところ両者の感情のチャンネルがあわなくなってきたのではないかと推察する。

妻としては夫の世話、面倒味ということの日常の負担増と、夫の収入がなくなったという経済的なメリットがなくなったことから、自分の残された生涯を自由に、そしてこれまでできなかったことを楽しみたいという思いから,離婚したい動機が一挙に強まり,結局離婚を決断することとなったという。

|離婚時の年金分割について

ところでこのような離婚において、妻が心配するのは年金は。
自分の老齢年金は支給されるだろうが、長年夫を支えてきたことから夫の厚生年金分を少しでも加給したいという。果たして厚生年金はどうなるのか?

離婚した場合、二人の婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができるという。
以下、日本年金機構の資料をもとに書いてみることにする。

|「合意分割」と「3号分割」の2種類

分割方法には、「合意分割」と「3号分割」の2種類ある。

➤  合意分割制度
合意分割制度は、離婚または事実婚関係を解消し、次の条件のいずれにも該当した場合に、両当事者または一方の当事者からの請求により、厚生年金の保険料納付記録(標準報酬)を分割できる制度。

この制度により分割される記録は、婚姻期間中の二人の保険料納付記録に限られるとのこと。
なお、事実婚の場合には事実婚関係にあった間に、二人の一方が国民年金の第3号被保険者であった場合に限られるのだ。

合意分割ということであり
・二人の合意や裁判手続きにより年金分割の割合を定めている
・請求期限(離婚をした日の翌日から起算して2年)を経過していない

ということが要件になる。

➤  3号分割制度
3号分割制度は、離婚または事実婚関係を解消し、次の条件のいずれにも該当した場合に、国民年金第3号被保険者であった方からの請求により、相手方の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度。

この制度により分割される記録は、平成20年4月1日以後の国民年金第3号被保険者期間中の記録に限られるという。
なお、国民年金第3号被保険者とは、厚生年金保険の被保険者共済組合の組合員の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の人をいう。

3号分割制度は
・平成20年4月1日以後に、二人の一方に国民年金の第3号被保険者期間がある
・請求期限(離婚をした日の翌日から起算して2年)を経過していない

という点に留意する必要がある。

|年金は分割後の納付記録で計算

年金分割により、二人の年金は分割後の納付記録で計算されることになる。
○ 分割をした方
自身の保険料納付記録から、相手方に分割分を提供した残りの記録で、年金額が計算されることになる。

○ 分割を受けた方
自身の保険料納付記録と相手方から分割分を受けた記録で、年金額が計算されることになる。

出典:日本年金機構のHPより抜粋転載

なお、現に年金を受給している方は、年金分割を請求した日の属する月の翌月分から年金額が改定されることになる。

|年金分割のための情報提供

合意分割の場合で、裁判手続きにより年金分割割合を定めている場合以外両者の合意による分割割合( 按分割合)は自由に決められず法律で定める範囲内になるように決めることになるが、その範囲、分割の対象となる期間等の合意分割を行うために必要な情報(情報通知書)が受けることができる。

|おわりに

ザックリと熟年離婚と年金分割制度について記載しました。
詳しい内容は日本年金機構のホームページや年金事務所にて相談してください。
離婚後でも年金分割手続きが可能です。
ただし離婚の日の翌日から起算して2年を経過すると請求することができなくなる。またすでに離婚等が成立し、相手方が死亡した日から起算して
1カ月を経過すると請求することができなくなる
ので注意を。

<参考>
不明な点は、近くの年金事務所等に相談してみるとよい
『予約受付専用電話』0570-05-4890(050から始まる電話でおかけになる場合は、(東京)03-6631-7521)
<受付時間>月~金曜日(平日) 午前8:30~午後5:15(※土日祝日、12/29~1/3はご利用いただけません。)
日本年金機構ホームページ

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/rikon/20140421-04.html


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