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豊橋駅で出会った女の子

何年か前に出会った女の子。
昨夜ふと思い出して、あれから何年になるのかもう高校生くらいになっていっらしゃるかも知れません。

その頃、私は静岡方面まで高齢の伯父の様子を見に行くために時々その駅を利用していました。
新幹線を使うこともありましたが、何度か通うようになり、急ぎでない時はのんびりと在来線を利用してその駅を私鉄の乗換駅としていました。

ある日、いつものように帰りの電車を待っていると目の前に小学校5、6年らしき女の子が小学校1年生くらいの男の子と幼児の女の子を連れて子どもだけで3人で電車に乗るところに出会いました。

電車の最後尾の扉から3人で乗り込むとすぐにそのお姉ちゃんらしき女の子が一人でホームにある売店に飲み物を買いに降りて来ました。
弟さんたちが飲み物が欲しかったんだなと思って、しっかりしたお姉ちゃんに感心してその様子を見ていました。

そして女の子が飲み物を買って小さな弟さんたちが待つ電車に乗ろうとした瞬間、電車の扉が締まり、電車は無情にもお姉ちゃんだけをホームに一人残して発車してしまったのです。

女の子はショックで取り乱していて、私も一瞬、何が起きたのかと驚きましたがすぐに「駅員さんのところに行こう」と女の子の手を取って近くの指定券売場に行きました。

事情を話すと駅員さんはその電車に連絡してくださり、小さな弟くんと妹ちゃんはその女の子の説明で親族の叔父さんの待つ駅で降ろしてもらえることになりまずは一安心。
二人もきっと心細かったに違いありません。

そして私はすぐ次にくる特急に乗ることになっていて、運の良いことにその特急の最初に停まる駅がその駅だったのです。
私は駅員さんに彼女をその駅まで送り届けることを申し出て、二人で次の電車に乗りました。

女の子は心配なのか落ち着かない様子で今にも泣き出しそうでした。
私も子どもの頃に迷子になったり、一人だけ家族に置いて行かれたりしたことがあったので、大丈夫だよ。すぐに会えるからと女の子を励ましつつ、元気が出るようにと持っていたお菓子をあげたりしていました。

「これからも困ることがあるかもしれないけど、そういうときは回りの人に助けを求めればきっと助けてもらえるからね。何も心配しなくていいんだよ。」と言うようなことを話したような気がします。
今から思うとそれは子どもだった頃の自分に言っているかのようでした。

程なくしてその駅に到着すると言うアナウンスが入り、私は女の子を扉のところまで送り届けるとホームに30代くらいのまだ若い彼女の叔父さんが、小さな甥っ子と姪っ子の手をぎゅっと握り、心配そうに電車の中を覗きこんでいる様子が見えました。
扉が開くと彼女は飛び降りるように男の子に駆け寄り小さな弟を抱き締めていました。その弟を思うお姉ちゃんの優しさに感動し、きっと素敵なご両親に育てられたんだろうと胸が熱くなりました。
私は安堵し、窓から手を降ると若い叔父様が頭を下げてくださいました。

私は彼女にとってこれがトラウマになって電車を嫌いにならないように、自分を責めないように。冒険が嫌いにならないようにと祈りました。


               

帰ってから一連の感動の出来事をFacebookでシェアすると数日後に、私の話とそっくりなことが新聞に出ていたと教えてくれた友人がいたので
その日の新聞を見てみると女の子のお母さんが、いただいたお菓子を大切にしていると言うことや子どもたちにとっては今回が始めての冒険だったこと。
これに懲りずにまたチャレンジするようなことをお姉ちゃんが言っていて勇気をもらったとのお礼が丁寧に書かれていていました。
こんな素敵な親御さんの愛に育まれて、彼女はきっと素敵な人生を送るに違いないと嬉しく読ませていただきました。


この時に本当は新聞社に連絡して名乗りでた方がご家族が安心されるのかとも思いましたが、私はご縁があればまたどこかでお会いできるような気がしていたので、謎の人のままにしておくのもいいだろうと思ってこの一件については、いつしか記憶のどこかに埋もれていきました。

それが何故急に思い出したかと言うと近々、その出来事があった下車駅に用事でいくことになり、そう言えば、、、、と
この一連の出来事を急に思い出したと言う訳です。


そうそう、その出来事があって、次にまた豊橋駅から帰宅する時に指定券を買うため並んでいると、その日はチケット売場に行列が出来ていました。
そこへ私が乗る予定の電車がホームに入って来たので気が気でなかった私に、前の男性の方が「あれに乗られるんですよね。お先にどうぞ。」と順番を譲ってくれたのです。

帰りにもしあの順番を譲ってくれた男性が女の子達のおじさまだったりしたらすごいなと思いながら帰って来たことも同時に思い出しました。

世の中って本当に循環しているのだなと思った出来事でした。
そんなこともありつつ、本当に日々貴重な経験を繰り返して来られたことに改めて感謝の思いです。

いつかあの女の子と何処かで偶然バッタリ‼️

あ、あの時の❗
そしてカフェでお茶をしてその後どんな冒険をしたか話を聞いてみたいな。
なんてそんな再会を密かに期待している私でした。


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