Cymbo Mallets 試奏記③ 久保氏を訪ねて

こんにちは。Cymbo Malletsです。

長らく前になりますが、NHK交響楽団の首席ティンパニ奏者の久保昌一様を訪ねマレットの試奏をしてきました。その折に素敵なコメントをいただきましたのでご紹介させていただきます。

久保昌一
東京音楽大学卒。1987年にベルリン芸術大学留学、元ベルリン・フィル首席ティンパニストのO・フォーグラー教授に師事。ベルリン芸術大学在学中、ベルリン・ドイツ・オペラとSFBベルリン自由放送協会のレコーディングで活躍。帰国後1990年より元ドレスデン国立歌劇場管弦楽団首席ティンパニスト、ペーター・ゾンダーマン氏に師事。
霧島国際音楽祭には第20回より毎年参加。第3回別府アルゲリッチ音楽祭にてM・アルゲリッチとN・フレイレ両氏とバルトークの2台のピアノと打楽器の為のソナタを共演。2010年 SWRシュトゥットガルト放送響よりティンパニストとして招聘され定期演奏会及びシュヴェツィンゲン音楽祭等に出演。2017年3月オランダ、マーストリヒト音楽院にてマスタークラスを行う。
現在、NHK交響楽団首席ティンパニ奏者。トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア首席奏者。東京音楽大学兼任教授、武蔵野音楽大学講師。


上に”訪ねてきました”とは申しましたものの、実のところCymbo Malletsと久保氏との縁は深く、数年にわたり様々な製品を何度も試奏いただきアドバイスをいただいています。なのでコメントが特定の製品のものに対してというよりは、これまでに関わりの中での弊ブランドに対するものになっています。

以下、久保氏のコメントになります。


新保さん。私は先ず彼のお名前に親近感を覚えた。
新保さんと久保は、一字違い。新と久だけが違う。新は言わずと新しい、最新のこと。久は永久の久、広辞苑によればある状態が限りなくつづくことを意味しているそうだ。彼との共通点は「保」、英語で言えばkeep?
こちらも広辞苑によれば守る、保つ、引き受けるとある。
新保とは読んで字の如く「古き良きものをしっかりと守り、そして未来に向けて常に新しいものを作り続いて行く」ことなのだ!
彼がこれまで作成して来たオーソドックスなマレットは、実に「保」の部分、そして最新作のマレット、スティックだけでなく彼にとっては未知の新しい楽器作りにも着手ている「新」の部分。彼の内なる世界は、それが見事に両立していて、尚且つ常に未来へと向かって輝きを放っている。

先日、拝見したトライアングルの形状は実にユニークだった。ヨーロッパ・スタイルの形状を研究した成果が結集した賜だった。マレットも神奈川フィルの堀尾尚男さんがお持ちのグスタフ・マーラー時代のフランネル・マレットを見事に再現してくれた。このマレット、特に山羊皮のホッホライナー・パウケンには最高だ!


それからゾンダーマン先生が日本にもたらしてくれた竹にテーパーの掛かった正統派フランネル・マレット、所謂Dresden flannelについても彼の手に掛かればあっという間に現実のものとなる!
新保マレット、私にとっては歴史に基づいた本物のマレットや、真にhistoricalな打楽器を常に提供してくれる最強の仲間なのだ!
久保昌一


コメント見て頂ければお分かりの通り、非常にやりがいのあるお仕事をいただく機会が多くございました。印象に残っていますのはやはり歴史的なマレットのレプリカの製作でしょうか。久保様からの提案で始まるマレットの企画も多いです。現在ラインナップにあるModel:Dresdenなんかもそのひとつになります。Cymbo Malletsのこれまでの変遷を語るうえで久保様との関わりは避けて通れぬものであり、今の私がこのように製作家業を続けていられるのも久保様のおかげと言っても過言ではありません。心より御礼申し上げます


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