Cymbol Arts クラリネットリガチャーについて
こんにちは。cymboです。
今日は昨日発売となりましたクラリネットリガチャーについて簡単ではありますが経緯から解説していきます。
・何故リガチャー作ろうと思ったの
ずーっと欲しかった加工機が買えたので、「お、これリガチャー作れるんじゃない?」って思ったのがスタートです。打楽器関係でコンセルトヘボウやニューヨークフィルなど、世界の様々な超一流と一緒に仕事をしてきた経験を全く別の分野で活かせるのか、という疑問を解きたい思いもありました。
・パッと見デザイン普通だよね
個人的な考え方なのですが、古いものが好きでマルタンフレールのリガチャーをデザインベースにしています。サックスだと有名ですがクラリネットでは楽器の名前こそたまに聞きますが、小物ではあまり聞きませんね。あと色々な流れを作ってきた先人にリスペクトしたいという気持ちもあり、昔のデザインをインスパイアしたデザインの形をとっています。
・作るうえでこだわったポイントは
皆さんリガチャー大好きだと思うので、よく分かると思いたいのですが特徴的なものって、その他のポイントが疎かになるんですよね。音が太く、艶やかで、発音は良くて、低域はこもらずに、高域はキンキンしなくてー、息の自由度が高いリガチャー、そんな欲張りセットみたいなモノないんですね。なのでどれだけ全てのポイントを高次元で保てるかどうかを素材0.1mm単位で検証して頑張りました。設計をすこしでも変えると吹き心地、音色ともに大きく変わってしまします。あと特徴が強いリガチャーは奏者の音を食いがちで個人的にはナシだと思っているので、どれだけ奏者の色を消さないでリガチャーとしての立ち位置を確立できるか。いわば協調的主張をどういったバランスで行うかは色んなプロのプレイヤーさんとコミュニケーションをとって経験を積んできました。
初心者からトッププロまで使えるというのも、ずっと考えているコンセプトになります。奏者のキャラクターが殆どそのまま反映されるので、変な吹き方をすれば変な音が出ますし、キッチリした吹き方をすればそのような音が出ます。教育的な道具でもあるし、一線級のプロの使える道具でもあります。
・4仕様それぞれの特徴は
真鍮-銀メッキ
いわゆるベースモデルで、この仕様を中心に設計を行ってきました。落ち着きある伝統的なクラリネットらしさがありつつも、盲が開けるような吹き心地の良さ、コントロール性、音の伸びがあります。
真鍮-金メッキ
金メッキらしく、やや高域にピークがある伸びやかなサウンドながらも耳に痛い成分がかなり少ない仕様です。現代的な音色を持っていて、この仕様を好まれる方も多いのかなと思い、ラインナップにいれた仕様です。
洋白-銀メッキ
本当は全く作る予定になかった仕様なのですが、想像以上に良かったのでラインナップ化した仕様です。真鍮-銀と同様に落ち着きのあるトーンがありつつも、洋白の持つ音の飛びがあります。4仕様の中では一番音に太さがあります。しっかりとした質感がありつつも野暮ったさはなく、コシのある音色です。
洋白-金メッキ
洋白のもつまろやかなトーンと金メッキは相性が良いように思います。それぞれの長所がうまくマッチしており、キラッとした質感がありつつも気持ちよく伸びていくサウンドが得られます。銀メッキの仕様よりもやや腰高な音色で華やかです。
真鍮ベースのものはコントール性に富み、特に発音のレスポンスがとてもよいです。各社この素材を使われるのも納得できます。ちゃんと加工すれば非常に高い次元の性能をバランスのよく引き出せます。
洋白ベースは、真鍮のベースと比べるとややしっかりとした吹き心地があり、素材そのものが持っているしなやかなトーンが特徴的です。息を入れれば入れるほどに音は良く伸びていく印象です。吹き心地が窮屈になりがちな素材ですので、息が自由に使えるよう様々な方法で処理してあります。