
エルゴメーターサイクリングで使う筋肉、徹底解剖!—どの筋肉がどれだけ働くのか?—
こんにちは!今回は、サイクリング中に どの筋肉がどれくらい働いているのか を科学的に解明した面白い研究を紹介します。
「サイクリングって脚全体を使っている感じだけど、実際にはどの筋肉がメインで頑張っているの?」
「太もも?ふくらはぎ?それともお尻?」
こういう疑問、気になりますよね?
今回紹介する研究では、エルゴメーター(いわゆるフィットネスバイク)を使いながら、股関節・膝関節・足関節の各筋肉がどれくらいの力を発揮しているのか を徹底分析しています。
それでは、早速チェックしていきましょう!
サイクリングでどの筋肉がどれだけ働く?
この研究では、6人の健康な男性(平均25.3歳) が 120Wの負荷 をかけたエルゴメーターを 毎分60回転(rpm) でこぎながら、各筋肉のパワーを測定しました。
特に 5つの主要な筋群 のパワーを分析しています。結果はこちら!
筋肉別パワーランキング(平均ピーク値)
筋群 ピークパワー(W) 貢献度 (%)
膝関節伸展筋(大腿四頭筋など) 110.1W 39%
股関節伸展筋(大臀筋など) 74.4W 27%
足関節底屈筋(ふくらはぎの筋肉) 59.4W 20%
膝関節屈曲筋(ハムストリングスなど) 30.0W 10%
股関節屈曲筋(腸腰筋など) 18.0W 4%
つまり…
✅ メインで働くのは太もも前側の「大腿四頭筋」!
✅ お尻の「大臀筋」もサポート役としてかなり活躍!
✅ ふくらはぎの「腓腹筋・ヒラメ筋」も意外と重要!
✅ 太もも裏の「ハムストリングス」や「腸腰筋」はサブ的な働き!
エキセントリック(負の仕事)もある!
これまで「サイクリングはコンセントリック(求心性収縮=筋肉が縮む動き)中心」と言われてきましたが、この研究では 一部の筋肉がエキセントリック(遠心性収縮=筋肉が伸びながら力を発揮する動き)もしている ことが分かりました。
特に足関節の底屈筋(ふくらはぎ) では、
• ピーク時 11.4W の負の仕事(エネルギー吸収)が発生
• 3.4J のエネルギーを吸収
つまり、ペダルを押し下げるだけでなく、引き上げる動作の際にブレーキをかけるような働き もしているということですね。
これがあるから、スムーズで効率的なペダリングができるわけです!
サイクリングの筋トレ効果、どこを鍛えたい?
サイクリングを 筋トレとして活用するなら、どこを意識すべき? という話もしておきます。
1. 太もも前を鍛えたいなら
👉 ギアを重めにする or 坂道を登る
大腿四頭筋がメインなので、高負荷のペダリングで鍛えやすいです。
2. お尻を鍛えたいなら
👉 前傾姿勢を深める(ヒップを後ろに引くイメージ)
股関節の伸展動作が増えるので、大臀筋の関与が強くなります。
3. ふくらはぎを鍛えたいなら
👉 ペダルの踏み込みより、引き上げを意識
エキセントリックな動きを意識すると、よりふくらはぎが鍛えられます!
まとめ
今回の研究から、サイクリングは太もも前(大腿四頭筋)だけでなく、お尻(大臀筋)やふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)もしっかり使われている ことが分かりました。
さらに、エキセントリックな動きもあるので、意識的にトレーニングすればより効果的な筋トレにもなりそうですね!
エルゴメーターを使っている人や、サイクリングを筋トレに活かしたい人は、ぜひこの知識を参考にしてみてください!
それでは、また次回!
引用元
題名:
“Power output and work in different muscle groups during ergometer cycling”
(エルゴメーターサイクリング中の異なる筋群におけるパワー出力と仕事)
著者:
• Mats O. Ericson
• Åke Bratt
• Ralph Nisell
• Ulf P. Arborelius
• Jan Ekholm
掲載誌:
European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology(1986年, Vol. 55, pp. 229-235)