持続可能な開発のための設計
洛中某所で「SDGsカードゲーム」初体験。
友人が公認ファシリテーターをしていることは知っていたものの、肝心要のSDGs(Sustainable Development Goals)については何の略語かも曖昧なほぼ童貞状態。とりあえず事業開発のファイナンスやコンサルティングのネタになればいいかなー、くらいの目論見で参加したが結論から言うと予想外に面白く色々と考えるきっかけになる時間だった。
ゲームについてはSDGsの意味するところと「持続可能な開発」という抽象的な目標を「経済」「環境」「社会」という3軸のバランスを取りながら達成するプロセスを短時間で理解するためによく考えられた基本ルールだと思う。
体験してみて自分がポイントと感じたのは以下のような点。
✔ 時間は有限、最も重要なリソース(お金はなんとかなる)
✔ 経済の発展は必須
✔ 他のプレイヤーのゴール、優先度の差を理解する
✔ 全てのプロジェクトを行う必要はない
✔ ゴールの妥当性、必要条件について理解することの重要性
✔ 早く達成することは必ずしも最優先ではない
ゲームの進行にともない、こうした一連の(考えれば当たり前の)ことを体系的に理解できる/気づけるようにデザインされており、かつそこを起点として参加者で前向きな議論ができるようになっている。企業研修や教育現場で体験することで様々な発見・学びのきっかけになりそうだし、これまでの倫理教育では無視しがちな経済活動を中心に据えているのもいい。
だだし、参加者は同時に、ゲームと現実とのギャップを思い知ることにもなる。
今現在の現実では「世界の状況メーター」的なものを全てのプレイヤー(人類)が日常的に知る術はまだないし、その状況も地球上の様々なエリア/リージョンの総和であって、個々のプレイヤーが置かれている環境(リージョン、エリア)によって大きく違う。また、使えるリソースなどの所与の条件も国の経済・政治状況によって天と地ほどの差がある。さらにはプロジェクトは天からは降ってこないし、取り組んだとしても成功や得られるものの確約はない。
だから、ゲームによって理想の世界を意識し、その実現のための取り組みの重要性に気づいたその刹那、大きなギャップを思い知らされて諦観に陥る可能性も否定できない。
なので、このゲームにはAdvancedバージョンがあればいいのにと思う。
たとえば以下のような条件を加えるだけでもかなり難易度はUPする。
✔ プロジェクトの成功確率、得られるものはランダムに変動する
✔ もしくは複数の変数(世界の状況、過去の経験など)で決まる
✔ 世界は複数のリージョンに分かれ(OECD加盟国、サハラ以南アフリカなど)各リージョンごとの状況メーターの総和が世界の状況メーターとなる
✔ プレイヤーは所属するリージョンごとに開始のゴールド保有量が違う(借金から始まるプレイヤーも)
条件がない場合(現在のゲームのルール)と比較して、特にビジネスパーソンの達成度はかなり下がるかもしれない。けれど、基本のゲームルールと現実世界との橋渡しを考える上で、もさらに多くの実践的な気づきが得られるように思う。
世界とプレイヤーのステータスによって結果が動的に変化するところなどはサイコロでは限界があるのでアプリ化すればいいし、アプリ化することでプレイヤー間の交渉もやりやすくなるかもしれない。もしかしたら交渉の履歴を記録することで現実世界に応用できる Diplomatic Method が発見できるかも(本気で企画・開発したい)。
ということで、とりあえずどこかでもう一度ゲーム体験してみようと思う。