シン・ウェアラブルで作る「以心伝心」を見て欲しい。
こんにちは! CyberneXの有川です。大変ご無沙汰しております。この半年間、私たちの技術についてなんとなく考えていたことを、展示会のデモで来場者にぶつけてみましたので書きたいと思います。
CyberneX(サイバネックス)の目指す "以心伝心コミュニケーション" のデモを9月6日~9月8日に開催されたICCサミットKYOTO 2021のデザインアワード で展示いたしました。入賞は逃しましたが参加されたエクストリームな方たちから様々なフィードバックをいただき、私たち自身も一歩前進できたと実感しています。あらためて、この大変困難な時期にリアルイベントを開催いただいたICCのスタッフの皆様、そして参加いただいた皆様に感謝しています。当日のデモを振り返り、ここに残したいと思います。
以下、当日のデモ内容を書き起こしてみました。最後に動画も作ってみました。
以心伝心コミュニケーションとは?
”以心伝心”は発話や言葉に頼らないテレパシーのようなコミュニケーションで、私たちCyberneXが作ろうとしているものです。
この実現には脳情報の活用が必要です。どういうことかというと、脳波計などのセンシング機器で、脳情報を読み取り解析することで人間の状態(感覚や好みなど)を特定し、その情報を自分や他者、さらには機械などに伝達することで、以心伝心が可能になります。
耳で計測するのが熱い!!
私たちは耳に注目し、脳波を取得可能なイヤホン型のウェアラブルデバイスを開発しています。音声インターフェースも備えており、何も言われないとイヤホンとしか思えないデバイスです。目立たなくて付けた感じも自然であり、日常生活に溶け込む新しいセンシングを実現しています。見逃した方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事の冒頭のカバー写真はイヤホンを装着した状態での写真です。自然なのが売りです。 "Ear Brain Interface" と呼んでます。
なぜ耳か? 見た目が自然で、脳に近いので多様な神経活動を捉えることができ、音声インターフェースとの融合が狙えるというメリットがあるからです。耳は不動産価値の高い注目の場所なのです。
ウェアラブルに実は辟易してました、、
ここでウェアラブルデバイスの一般的な機能について、私が感じていることをお伝えしたいです。ウェアラブルデバイス(某ウォッチとか)は、人間の心と体を計測して、スマートフォンなどを通して気付きを与え、人間の意識に訴え、行動を起こさせることを目指しています。ですが、気付きのところで自分の感覚となんか違う??と思うことがよくあるのです。例えば、よく寝たつもりがスマートフォン画面の睡眠スコアはいつも低いとか、「もっとたくさん動いた方がいいですよ」とスマートフォンに唐突に言われてみたりとか、結果としてなんとなく腹落ちしない感じとなり行動を起こせないという問題がおこります。理由として考えられるのは、計測精度が悪いとか、気付きを与えるインターフェースがいけていないとか、自分の心体についてそもそも理解できていないとか、色々考えられるのですが、正直ウェアラブル製品のあるあるなシーンだと思っています。
シンクロ状態を作るシン・ウェアラブル体験!
私たちが目指している以心伝心の世界では、この"心体"、"技術"、"意識"をシンクロさせて、非常に短い時間でループを回し、体感に合う体験を作ることが重要となります。このループをすばやく回すことが、以心伝心のコミュニケーションの鍵です。シン・ウェアラブル体験と呼びたいと思います。
今日はこのシンクロした状態をご覧いただきたいです。”心体”は私(有川)の脳です。"技術"はイヤホン型デバイスで脳波を読み取り、Bluetoothでスマートフォンにデータ送信し、分析アルゴリズムで脳の覚醒状態を特定します。特定した状態に合わせて、照明の色が決まる。ここまでが技術でできることです。そして、色を変えることを意識して心(脳)の状態を遷移させます。ここが行動の部分です。これを繰り返すことで、以心伝心デモ(シン・ウェアラブル体験)の完成です。
では、動画をご覧ください。
余談ですが、展示会場が京都だったので、イヤホンで測定した私の心を伝統工芸である竹籠と和紙で包んでみました。私の住む横浜では竹細工職人の方がもう2名しかいなくなってしまったとのことです。たまたまご近所にいらっしゃった職人さんに、ほどよいサイズ感でオーダーメイドさせていただきました。Craft x Techって感じですごく気に入ってます。
どうでしょうか?? 念じると色が変わり、リラックス(ぼーっと)するとまた色が変わる。こんな以心伝心のデモを作ってみました。今までのウェアラブルではできない事です。
これが何に応用できるのか
以下のような用途で新しい世界を作ることにチャレンジしていきます。来場者の皆様からいただいたたくさんのコメントから、期待が大きいと思われる用途をピックアップしてみました。
・発話に不自由のある方の意志の確認や、表現への応用
・体の不自由な方の意志伝達や機械の操作への応用
・遠くにいる大事な人の状態を見守りながら生活
・二階にいる息子がちゃんと勉強しているか、リアルタイムでモニタリング(やろうと思えばできます。息子がかわいそうという声、多数でした)
・大切な人の気持ちに、いつでも触れることができる。(大切な人に会えなくなってもデータがログできていれば、再生することでいつでも会う感覚になれる。)
・日常生活中に記録した自分のデータから、自分より自分を知るAIを作り、一緒に暮らす。(もはやアイアンマンの相棒「ジャービス」の世界観ですね)
以上のような、現実にはまだ見たことない未来をつくろうと日々色々と考えています。一貫して取り組んでいきたいのは新しいコミュニケーションの創出です。このコミュニケーションを世の中に浸透させるために、私たちは日常使いに特化した独自のアプローチで計測の簡便さや表現の多様さを探求、創造していきたいと思っています。
自分という人間の理解が必要
そして、意味のある"行動"を生むには、なんと言っても自分の"心体"を理解して、自分の心体を"意識"できる状態をつくる必要があります。"技術"の活用を広げながら、自分という人間を深く理解していくことも重要ということに気付きました。このデモを作ってみて感じたことです。
実は早速ですが、京都の展示会から帰ってきてすぐ、坐禅の体験会に足を運び自分に向き合うことも始めてみました。これはまた次回以降お伝えできればと思います。
まとめ
ICCサミットというエクストリームな方たちが集まるイベントで、技術と私たちの提案するウェアラブル体験(シン・ウェアラブル!)を展示しました。デモを作る過程で技術に対して考えてきたことが表現できるようになり、その表現を審査員の皆様をはじめいろいろな方に見ていただき交流させていただいたことで、自分たちが社会で価値を出していく方向性が見えました。
デザインアワードというカテゴリーでの展示でしたが、正直我々はサービスデザインがまだまだ弱いので、「これから大変そうですね」とか、「これはいつ頃サービスになるのですか?」なんて、少し冷ややかなご意見もあり、改めて私たちが難しいことにチャレンジしていることを外の視点から気付かされました。技術と合わせて市場を耕していきます。
絶賛仲間募集中です!! 次回以降は新しく加わったメンバーにもnoteを書いてもらいたいなと、妄想しております。ではまた!