「かつての上司を倒しにきた」元上司と部下がブレインテックスタートアップで再び合流したワケ
ブレインテックスタートアップのCyberneXの事業開発チームで働く泉水亮介と渡邊亮季。
この2人は過去に数年間IoTスタートアップで二人三脚でBiz Devを牽引してきた過去があります。
一度は別々の道を選んだ泉水と渡邊は、何故再び集まり脳情報活用の未来を切り開くことを選んだのでしょうか。
かつて上下関係だった2人は、新たなフィールドで何を目指すのか?
対談形式で迫ります。
スタートアップで切磋琢磨した上司と部下
──2人はかつてスタートアップで一緒だったそうですね。どのような関係だったのでしょうか。
泉水 僕と渡邊さんは2016年から2020年まで、僕がCOOを勤めていた紛失防止タグのスタートアップで一緒に働いていました。
当時は従業員数名でプロダクトを発売したばかりというタイミングで、Biz Devは僕一人でしたが、その時にインターンとして入ってきたのが大学生だった渡邊さんでした。
その後、同社初の新卒社員として入社し、二人三脚でアライアンスやリテール開拓を中心に沢山のことをやってきました。
渡邊 僕にとって泉水さんは本当にいい上司だったと思ってます。
たまに知らないことがあると、「情弱だなw」っていじられて悔しい思いをしていましたけど、あれも僕の「負けず嫌い」という性格を見越して「常に正しい情報に触れて自己アップデートしろよ」というマネジメントの一環だったのかなと今では思ってます。
新卒だった僕にとって、会社の役員や上司は怖いというイメージを持っていたので、冗談を言い合いながら成長できる環境を用意してくれた会社や泉水さんには感謝しています。
泉水 マネジメントと言っても、当時はまだ僕も20代中盤で今思うととても未熟だったと思うけどね。渡邊さんを信頼はしていたよ。
渡邊 未熟だったかどうかはわかりませんが、僕は自主性を重んじて任せてくれる泉水さんのマネジメントは性に合っていたと思います。
ジョインから1年ほどでリテール事業の責任者に任命してくださり、その後の1年で1000店舗の店舗展開を実現できたのも、道筋を示すのではなく、道の歩きかたを教えてくれたからだと思います。
その時の経験は今でも役に立っていると思いますし、今後も役に立つものだと思ってます。
泉水 その会社には「なくすを、なくす。」という素晴らしいミッションがあり、とても楽しく、スタートアップの事業環境もよくなっていった時期も相まって、まさに急成長していく過程を見れたのは本当に楽しかった。
渡邊 僕もすごく楽しかったです。
僕は常に泉水さんに追いつきたいし追い越したいと思っていました。
一時期、僕なりに頑張った良い案件を決めてくると、泉水さんがそれ以上のインパクトの案件を取ってくる。負けじと、もっと頑張って取ってきたより大きな案件も数日後に上書きされるという時期があって。
「またやられた。」って悔しかったですよ(笑)
ただ、上司は背中でみせ、部下は上を突き上げるという状態を作れたこと、そのような関係性を築き続けられたことは会社の成長にとっても大きかったのかなと思ってます。
退職後、別々の道へ
──その後、お二人は2020年、2021年と相次いで別々の道に行かれていますね。
泉水さんは、起業やスタートアップのCXOなど、渡邊さんはより規模の大きなメガスタートアップで活躍されました。
泉水 僕は会社を作ってみて自分一人でスモールビジネスをやってみたり、HWスタートアップでの経験を活かしていくつかの会社の事業開発をお手伝いしたりしてました。
特にSUNDREDという会社で留目さん(元レノボ・ジャパンCEOなどを歴任した留目真伸氏)の下で新産業共創という個社の役割を超えた非常に大きな目的を持った会社で社会全体をアップデートする取り組みに参画したりしました。
自分としては大変刺激的な日々でしたが、色々取り組んだことで向き不向きが見えてきましたね。
渡邊 僕はスマートロックの製造販売をしているスタートアップでカスタマーサクセスやコンシューマ向けの新規事業などを行なっていました。従業員が250人を超える規模の創立まもないスタートアップはいろんなバックボーンを持った人がそれぞれのスキルを活かして働いていて、いろんな文化が混じったアメリカのような会社でした。急成長しているからこそ難しい仕事も多かったですが、ありがたいことに僕は社長と2人で進める仕事が多かったので、急成長スタートアップの経営者マインドを間近で感じ、学びながら楽しく仕事ができたと思ってます。
「かつての上司と働く」ということについて…「倒しにきた」
──泉水さんは2021年12月〜CyberneXにジョインされましたね。約半年遅れで渡邊さんがジョインしたんですよね。
泉水 そうなりますね。僕もCyberneXを会社として強くしていこうと色々整えていて、更にこれからもっとアクセル踏むぞってところで、同じ共通言語で語れる渡邊さんが入ってくれたのは助かった。
ここで本人に聞きたいんだけど、年齢も3つしか違わないし、上司部下ってよりは先輩後輩くらいの感覚じゃない?
まして、アラサーにもなってくるとそこの差も縮まってくる。
渡邊さんはもう独立した社会人として僕より強いスキルも沢山あるわけだ。
今回一緒に働くにあたって、そのあたりの意識は変わったの?
ってか、飽きないの?とかある意味底が知れてる相手と働くってことに不安はないの?とか気になる所なんだけど(笑)
渡邊 難しい質問ですね(笑)
回答としては、「はい、変わりました」
僕も一緒に働いていなかった間、いろんな人に会い、多くのことを学び吸収し、自分の強みを伸ばしてきました。
今まではただ必死に泉水さんの背中を追いかけていただけでしたが、これからは自分の強みを活かした働き方をしていこうと思ってます。
一緒に働いていない期間、僕も成長していたのと同じで、泉水さんも得意分野を伸ばしつつ、新たなスキルを取得していると思いましたし、僕の知っている泉水さんであれば間違いなくそうだろうと思っていたので、そこに対する不安は全くなかったですね。
むしろそんな泉水さんと働くことが楽しみでもありました。
そして、そろそろ泉水さんを倒したいと思っているので、覚悟しておいてくださいと一言添えさせていただきますw
泉水 確かに渡邊さんはインナーコミュニケーション用の資料の作成能力とか、プロジェクトの進め方とか、自分で前に進める為の力をつけてきたのを感じますね。
僕を倒しにくるということですが、切磋琢磨することで結果的に会社の為になるならウェルカムな話でしょう(笑)
これまでの経験をフル動員して挑む脳情報活用前提社会の実現
──お二人の想いも理解できたところで、最後に、2人はどういう風にバリューを発揮していくんですか?
泉水 僕は社会人10年目なのですが、この10年の総決算だなと思っています。
例えばXHOLOSって脳にアクセスする凄い技術でもありますが、それ以前にBluetoothデバイスじゃないですか。
紛失防止タグもそうなので、結構共通点もあるんですね。
事業にしていく上で「ここが大変なんだよな」というポイントは結構理解しています。そこをいかに試行錯誤コスト少なく乗り越えるかが大事。独立してから新たに得られた経験もある。
違うポイントは、ブレインテックは「まだキテない」技術だということ。
紛失防止タグが発売した2016年はIoTが社会のトレンドのど真ん中でしたが、ブレインテックはまだ「ちょっと早い」んですよね。
社会がついてくるのにまだまだ時間がかかる。
そんな状況で、僕らの作り出す未来の価値が認められるところまで会社を生き延びさせつつ、社会にインパクトを与えていくという難しい舵取りが求められます。
でも、脳情報を味方につけた社会は今とは比べ物にならないくらい進歩した社会になると思いますよ。そこを目指したいですね。
渡邊 今回CyberneXに入社したのは僕にとって大きな挑戦だと思っています。
というのも紛失防止タグではリテールの拡大を含め小規模なベンチャーでいかにできつつある事業を拡大していくのかということをやらせていただきました。
次に転職したベンチャーでは出来上がっている事業をより大規模に拡大するためプロジェクト化し、大人数でそれぞれの役割担うということをやってきました。この2社は規模や事業推進体制こそ違えど、すでに市場に受け入れられている、受け入れられつつある製品やサービスをいかに浸透させるかというフェーズでした。
ただ、今回のCyberneXでは脳情報をどう活用することで社会に価値を出せるのかということを考え、企画し、サービス開発するフェーズです。
今までとは違ったスキルが求められますし、それができるであろうと思って採用していただいたと思っているので、期待に応えられるように、そして何より僕らCyberneXが出すサービスが、誰かの役に立てるようにしていきたいと思っています。
産みの苦しみは想像以上に辛いところもありますが、泉水さんをはじめCyberneXのメンバーとなら乗り越えられると信じています。
泉水 リアルなウェルビーイング社会を目指す上では、一歩一歩やってくしかないよね。最近、一緒に働いていたデザイナーのつとちゃん(津藤)も来てくれたし、トラックレコードを塗り替えていこうな。
お互いを知り尽くしているからこそのリスペクトと新たなイノベーションへに向けて同じベクトルを見せる2人。
上司部下の関係からライバルであり仲間としてCyberneXに再集結した泉水と渡邊が、次に生み出す社会変革に着目していきたい。