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kissyou22
大粒の涙
昨日のカムカムエヴリバディは何故かぼろぼろ泣いてしまった。
ジョーがトランペット吹けなくなって、ラヂオからサニーサイドが流れてくる。それを聴きながら、「いつかアメリカで吹きたいなぁ」と浜辺で言った時の事を回想する。
別々の場所で同じラヂオを聴きながら、ジョーもルイも大粒の涙を流す。
涙がぼろっと出てきてしょうがない時、止められない時は、人生の中でも多くない。
思い出したのは、中3の夏。
中学の時は上手くなくて、その上3年の時は部活で唯一の男子になって肩身が狭かった。
部活が恐怖だったが、お盆休みの後の最初の部活が、家の用事でみんなより2,3日多く休むこととなっていた。
休み最後の日、日が沈むにつれ、
上手くないのにみんなより遅く復帰することについて、明けの初日への恐怖がだんだん増幅していった。加えてお盆で解放されていた期間が楽しかったことがそれを余計に助長した。
その日は、姉と2人だった。部活のために先に電車で帰ってきたのだ。
小川珈琲で晩御飯を食べることになった。
注文したパスタが運ばれてきたが、湯気がしっかり立って、すごくあたたかかった。
あったかいパスタを頬張ると、涙が。
おいしくてあったかいパスタが
必死にこらえて平静を保とうとしていた少年の不安を一気に表出させた。
ぼろっと出た涙は、数珠つなぎに追いかけるようにして、あふれた。
ぼろぼろ止まらない。
姉は心配した。
ある程度、まとまった涙が出て拭いた後はこころを落ち着けて、パスタを食べたが、
後にも先にも、小川珈琲でパスタを食べた事はない。
ジョーの涙、ルイの涙を見て、そんな事を思い出した。